2007.05.17

持ち分法適用会社化で企業価値向上?(楽天とTBS)

 日本経済新聞社のWebサイトに、楽天TBSに関して、楽天社長、TBS株買い増し「濫用的ではない」という記事が掲載されています。
 楽天の三木谷浩史社長は17日、2007年1―3月期の連結業績発表会見で、TBS株の買い増し意向について「濫用(らんよう)的ではない」と改めて強調した。TBSを楽天の持ち分法適用会社にすることが楽天の株主利益にかなうとしたが、経営権の取得については否定した。同期の業績は証券子会社の不振などで、前年同期比7%減と上場来初の減収となった。営業利益も43%減少した。

 株式の19.86%を保有するTBSについて三木谷社長は「20%強の水準に買い増し、会計上の持ち分法適用会社にしたい」との考えを改めて示した。TBSの連結純利益の一部が楽天の経常利益に加わることで楽天の企業価値が向上。「楽天株主への説明もつく」とした。
 三木谷浩史氏の考え方はよく分かります。持分方適用会社にすれば、楽天の財務諸表にはTBSの利益等が反映され、改善されることが想定されます。(検証はしていません。見方によって、悪化する指標もあることと思われます)

 しかし、ここでひとつの疑問が生じます。
 市場参加者の多くが、「楽天TBSの大株主である。持ち株比率は19.86%」ということは認識しているはずです。そして、この事実を織り込んで、現在の株価は形成されているはずです。

 20%超の持ち株比率を目指すこと自体の是非はともかくとして、「持ち株比率が19.86%→20%を少し超える程度」というわずかな変化があったとして、このことが楽天の企業価値を劇的に向上させるのでしょうか。楽天TBSの経営権取得や、収益に繋がる業務提携等に動くならばともかく、報道を見る限りはそれもなさそう。他の条件が同一で、単に「持ち分法適用会社になって、財務諸表にもその情報が反映させる」ということにとどまるのならば、「実質的な企業価値にさほどの変動はないのでは?」と考えてしまいます。もちろん、実態をより分かりやすく反映した、財務諸表が作成されるということ自体は、メリットではありますが。

 20%強の株式取得について、三木谷浩史氏が「決算書の見栄えを良くすること」に力点を置いているのならば、さほど有益なオペレーションではないのかな?と感じています。まさか、そんなことはあり得ず、将来への戦略があるものとは思いますが。


PS 私は法制度について、さほど詳しくありません。見落としている事象などがありましたら、コメント等いただけるとありがたいです。

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2007.05.10

高止まりする投信手数料

 昨日(2007/05/09)の日本経済新聞朝刊1ページの記事を引用します。
 投資信託を購入した後の管理費として利用者が毎年負担する手数料(信託報酬)が高止まりしている。三月末の平均値は契約資産の一・三〇八%と四年連続で上昇。手数料が割高な新興国投信などの商品が増え、過去最高の水準に達した。投信を長期保有する際の負担が重くなることを示しており、販売する証券会社や銀行はリスクを含めてより丁寧な説明を求められそうだ。
 投資信託の手数料については、過去にも何度か言及しました。
 私は、投資信託の仕組みそのものは素晴らしいと考えています。多くの場合、小額からの投資が可能ですし、信託保全されますので、安全性にも優れています。(「元本割れがない」という意味ではありません)

 しかし、投資信託の手数料はあまりにも高すぎます。
 手数料負担は、受益者(投信の購入者)の利益を確実に損ねるのです。1.308%程度ならば、許容できると思われるかも知れませんが、決して無視できない数値です。

 新聞には、以下の記述もあります。
 信託報酬は自動的に毎年徴収される。運用成績が振るわず信託報酬分を補えないと、実質的な元本割れとなる。百万円購入した投信が毎年五%上昇したとすると、信託報酬が一%違うと十年後の残高は十四万円の差がつく。長期投資では運用収入を左右しかねない。
 投信にかかる手数料はこのほか販売時に契約資産の一―三%が徴収され、平均でも高止まりしているもようだ。販売時手数料ゼロの投信も増えてきたが、信託報酬を増やして販売会社の取り分を増やすケースもある。
 「百万円購入した投信が毎年五%上昇したとすると、信託報酬が一%違うと十年後の残高は十四万円の差がつく」という記述は、まだまだ甘いと思うのですが、それでも、百万円の元本に対して十年後に十四万円の差がつきます。
 投資信託で資産運用をする場合、手数料率が低廉なものを選択することが理にかなっています。

 引用記事にもあるような、「販売手数料ゼロ(ノーロードと称されます)だけど、信託報酬を高めに設定している」という、羊頭狗肉の低コスト商品にだまされるのもよくありません。

 投資信託のコストや、見えざる不具合についてお知りになりたい方は、「投資信託にだまされるな!—本当に正しい投信の使い方」「金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか」などの書籍を一読されるとよろしいと思います。
 私は実のところ、「あえて、投資信託で資産運用をしなくてもいい」とも考えていますが、便利な金融商品ですので、どうせなら、賢く使いたいものです。

 以下、余談です・・・。
 やや乱暴ですが、投資先として、日本株に投資する株式投信を検討しているのであれば、イー・トレード証券などのネット証券で、ETFを購入するのが有力候補だと思います。外国株への投資もETFを活用するのが無難で、楽天証券がラインナップを充実させています。

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2006.12.15

公募投信の株式運用額、20兆円を突破・11月末、バブル後初

 昨日(2006年12月14日)付、Nikkei Netの記事を紹介します。
 公募投信の株式運用額、20兆円を突破・11月末、バブル後初という記事です。

  公募投資信託の株式運用額が11月末、バブル崩壊後初めて20兆円を上回った。公募投信の残高が4カ月連続で過去最高を更新するなど、個人マネーの流入が高水準で続いていることが主因だ。株式市場では「買い手」として投信の存在感が一段と高まっている。ただ、販売をけん引する銀行窓販でトラブルも発生しており、銀行による説明責任の徹底など今後の課題になりそうだ。

<以下略>

 金融機関による徹底した説明は必要だと思われます。
 そして、記事では触れられていますが、気になることがもう一つ。(ホントはいろいろあるんですけどね・・・)。私たち投資家は、「コスト」についてもより多くの注意を払うべき。

 一般論として、金融機関が大々的に宣伝する投資信託で、投資家にとって有利なものなどほとんど存在しません。損失が生じる可能性を含めた「リスク」の説明は必須なのですが、同時に「コスト」の説明が必要だと考えています。
 手数料無料キャンペーンなどのお得情報でも、疑ってかかるくらいで丁度いいと思います。

 私も含めて、数多くの投資家が「投資バカ」の素質を有していると思いますが、本当にバカを見るようなことがないように気をつけたいものです。

 投資で利益を得ているのは、投資家自身でしょうか?
 もしかすると、金融機関が投資家よりもより多くの利益を獲得しているかも知れません。

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2006.12.10

投資信託の「手数料ゼロ」に騙されるな

 本日(2006/12/10)の日本経済新聞朝刊15ページ「ボーナス、お得な商品で運用を(くらしナビ)」から引用です。

  ボーナス時期に合わせた金融機関の販売キャンペーン。特定商品への誘導など売り手側の思惑が垣間見えるものもあるが、上手に利用すればお得な場合もある。
 マネックス証券は年内いっぱい、同社で扱うすべての投資信託(公社債投信は除く)を対象に、購入時の手数料を実質的にゼロにする。従来も手数料ゼロのキャンペーンを実施したことはあるが、対象を同社が選ぶ一部の投信に限定していた。
 今回は約百十本と多く、他社も扱う人気商品もある。もともと買いたいと思っていた投信がその中に含まれるのなら、他社で買うより有利だ。

<以下略>

 「マネックス証券が年内に投資信託を購入した場合、手数料が実質無料になるキャンペーンを実施中である。よって、有利なキャンペーンを利用も悪くない」という趣旨の記事です。確かにその通りではあるのですが、若干「踏み込みが甘いなぁ」と感じる内容でもあります。

 投資信託のコストは3つに大別できます。

  1.購入時のコスト(販売手数料)
  2.保有期間中にかかるコスト(信託報酬)
  3.解約や売却で換金するときに必要なコスト(信託財産留保額)

 「1.と3.」が不要な投資信託はありますが、「2.」が不要となることはありません。(少なくとも、私は事例を知りません)

 そして、この「2.信託報酬」が曲者です。例えば、株式投資信託の場合、年率1.5%~2%程度の信託報酬が必要となる場合がザラです。
 「たったの2%」と思われるかもしれませんが、これは投資家にとって過重な負担です。時と場合によりますが、運用で勝ってもコスト負担で元本割れが生じうる程の強烈なインパクトをもたらします。

 この信託報酬、投資信託を保有している限り、運用が成功しようが失敗しようが関係なく、コツコツと投資家の財産から差し引かれます。
 投資信託の利用が悪いことだとは思いません。しかし、コストの高い投資信託を選択すれば、「投資家は利益を得られず(あるいは、得をした気分になって)、実のところ利益を得るのは金融機関ばかり」という結果を招くことが十二分に想定されます。

 本日も(?)チャールズ・エリス氏の言葉を紹介しておきたいと思います。

彼らの仕事はあなたを儲けさせることではない。彼らの仕事はあなたから儲けることなのだ。
 金融機関が投資信託の販売に注力している背景に、「手数料、とりわけ信託報酬を長期に渡って確保したい」という思惑があるのは確実です。
 少々有利なキャンペーンがあったとして、本当に利用価値があるのかどうか、検討する必要がありそうです。

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2006.11.28

「投信」の罠

 週刊ダイヤモンド(2006/12/2号)を購入しました。「投信」の罠として、投資信託が特集されています。

 記事の前書きには、

小額からでも、低コストで、プロの運用の成果を得られる。投資信託というのは本来、そんな金融商品であるはずだった。しかし、日本の現状はどうか?高コストの商品、投資家の勘違いに付け込もうとする商品が溢れ、投信会社は販売会社の顔色ばかり見ている。本特集は多くの投資家に成り代わって、「日本の投信はこれでいいのか」と問うていく。
 とあります。
 雑駁に申し上げて、本特集は投資信託に対して総じて批判的です。しかしながら、その批判は概ね的確であり、しかも平易で分かりやすい内容になっています。

 例えば、要注意の売れ筋投信として、
  ○毎月分配型投信
  ○Bシェア投信
  ○リスク限定型・元本確保型投信
  ○変額年金保険
  ○セット販売
  ○ファンド・オブ・ファンズ
  ○テーマ別投信
  ○バランス型投信
 が挙げられ、仕組みが紹介されています。

 実はこれらの投資信託、あまり知られていないことですが、投資家にとって不利なカラクリが隠されています。
 投資信託を購入している方にとっては、あまり知りたくない現実かも知れませんが、一読して損はなさそうな内容です。要するに、これらの投資信託は、金融機関が利益を得るための商品であり、投資家には、さほど利益をもたらさないのです。

 例えば、日本最大の投資信託である、グローバル・ソブリン・オープンのような、毎月分配型投信には、投資家が知らず知らず、手数料を掠め取られるような仕組みが内包されています。この雑誌では、それらの実態を分かりやすく説明しています。全体として、良心的な特集です。ダイヤモンド・ZAiを発行している会社の雑誌とは思えないほど(笑)。

 不利な金融商品に手を出さないための予備知識を得るための書籍には、

  1.お金をふやす本当の常識―シンプルで正しい30のルール
  2.金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか
  3.「投資バカ」につける薬

 などが挙げられます。

 基礎的なファイナンシャル・リテラシがあれば、不利な金融商品は見分けられるようになるかと思いますが、手始めに、週刊ダイヤモンド(2006/12/2号)を眺めてみるのも良さそうです。雑誌ということもあり、手軽に読み進められます。

 ところで、週刊ダイヤモンド(2006/12/2号)34ページには、気になる(というよりも、率直な感情として怒りすら覚えます)内容が掲載されていました。投資信託の信託報酬(保有期間中に投資家が支払う手数料)についての記述です。

 ”ミスター・グロソブ”山内一三・国際投信投資顧問副社長はこう答える。
「信託報酬を引き下げても、お客さんにとって、大したメリットにならないと思う。それよりは販売会社とともに、セミナーなどを通じた情報提供に力を入れていくべきだと考える」
 ・・・。
 ポジショントーク、ここに極まれりといった印象です。雑誌の掲載記事ですので、前後の文脈や正確な発言内容が不明ですが、詭弁のように思えて仕方ありません。

 信託報酬をはじめとした、手数料は投資家の手取り収益を著しく毀損します。山内一三氏がこの事実を知らないはずがありません。

 もちろん、運用会社が信託報酬などから利潤を得ていくことは必要です。
 とはいえ「信託報酬の引き下げが、お客(=投資家となるハズ)にとって大したメリットにならない」とは、失礼ながら、その見識や良識を疑ってしまいます。もしかして、「お客=販売会社」と考えているのではないかと、思ってしまうほど。

(「お客=販売会社」であるならば、それはそれで一つの考え方だとは思います。私はそんな運用会社とはあまり、お付き合いしたくありませんが)

 人気のある金融商品が、投資家にとってすばらしい金融商品とは限りません。
 私たちは投資家にとって不合理な金融商品を見分けられる程度の基礎的なファイナンシャルリテラシを身につけるべきだと思います。
 それは自分自身を護ることになりますし、不合理な金融商品を購入する人が減少すれば、それらを自然淘汰することにもつながります。

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2006.11.13

投資信託のコストについて

 先週末(2006/11/10)の日経金融新聞のコラム、独眼複眼「投信、投資家利益優先に」から引用します。

▼「貯蓄から投資へ」の掛け声の下、世はまさに投資ブームだ。中でも投資信託の伸びはすさまじい。 <中略> 販売会社である証券、銀行などにとって投信はまさにドル箱的な存在になっている。
▼販社は本来顧客の資産状況、家族構成、将来計画などをもとに個人の資産選択に応じた商品を提供するのが役目だ。しかしこれは形式だけで、実際には数ある投信の中で販売手数料が高いものから順番に顧客に薦めることもあるという。類似の投信という商品の供給は市場がある限り容易であるため、運用会社より販社の立場が強くなりがちであり、運用会社からすれば販社の取り分を増やしても残高の増加が望ましいことになる。この両社が満足すればするほど、顧客の費用控除後のリターンは減少することになる。
<中略>
▼米国の投信は運用報告と同時に今後一定のリターンを仮定した上で、費用控除前と控除後のリターンの違いが明記された表が同封されてくる。投資家は費用のリターンに対するインパクトの大きさとファンドによる違いを一覧できる。
<以下略>
 コストの高いファンド・オブ・ファンズが人気を集めているなども含めて、投資家自身にとって不利な商品を選択している人が数多く存在していることを再認識します。
 私自身も含めて、山崎元氏が「投資バカ」につける薬で指摘するような投資家が数多く残存しているということの証左なのでしょう。

 かつてもこのblogで記事にしたことがあるのですが、高コストの投資信託で運用することはあまり合理的な選択ではありません
 そしておそらく、この事実を大半の投資家は、「なんとくなく・・・」しか認識していない。

 米国のように、「費用控除前と費用控除後のリターン違いを明記した書類の送付」が日本でも広く一般的になることを望みます。もしかすると「そんな書類は読まないよ」という投資家が大半かも知れませんが。
 投資信託という仕組みを利用する以上、相応のコスト負担は当然すべき。しかしながら、不当に高いとすら思える手数料率が設定され、その事実が積極的に公開されていないことについては、ある種の憤りすら感じます。

 今回も、投資に関する達観した見識を有する、チャールズ・エリス氏の言葉を引用しておきたいとおもいます。

彼らの仕事はあなたを儲けさせることではない。彼らの仕事はあなたから儲けることなのだ。
 もちろん、私たちは金融機関に手数料を払わねばなりません。しかし、それが自分自身にとって不合理だと感じるならば、あえてその金融機関(や高コストの商品)を利用する必要はありません。

 その金融商品のコストは投資家として許容できる範囲内でしょうか?

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2006.11.02

投信で運用する投信が大人気

 私たち投資家は、さほど賢明ではないのかもしれません。
 まるで、山崎元氏が「投資バカ」につける薬で指摘しているように。

 昨日(2006/11/01)の日本経済新聞夕刊1ページには、「投信で運用する投信、残高10兆円を突破、9月末、前年の2.1倍、低リスク型主流」という記事が掲載されていました。

 投資信託のうち、投信で運用するファンド・オブ・ファンズ(FOF)の残高が九月末、十兆円を突破した。株式や債券など多様な資産で運用する投信を運用対象とすることで、価格変動リスクを抑えたことが、安定した運用を希望する中高年の運用ニーズをとらえている。公募株式投信の残高が過去最高を更新するなか、新型投信が個人マネーの「貯蓄から投資」の流れを後押ししている。
 投資信託協会によると、九月末のFOFの純資産残高は十兆一千四百億円に達した。投信ブームを背景に残高はこの一年で二・一倍に増加。商品の本数も二百五十四本と同二七%増加した。
 FOFの中で、主流は分散投資して価格変動リスクを抑えたタイプ。価格変動率は日本株だけで運用する投信の半分以下だ。投資の入門的な商品として人気を集め、野村アセットマネジメントが株式と債券の投信に投資する「マイストーリー」の残高は十月中旬に一兆円を突破した。同社は自社で運用を完結するよりも他社も含め優良な投信で運用することで、より高いリスクの分散効果が期待できるとみている。
 最近では株や債券のほか、不動産や商品まで加えた多資産タイプも登場している。大和証券は十一月中旬に七つの資産の投信で運用する新商品「ライフハーモニー」を投入する。組み入れ先の投信選びは投信評価専門の大和ファンド・コンサルティングを活用。多資産タイプの投入は同社として初めてで、投資の初心者の開拓を狙う。
 このほか、ピーシーエー・アセット・マネジメントの「インド株式オープン」など新興国へ投資する商品も、FOF形式で設定するケースが多い。日本で新興国株の運用体制を一から組むよりも、現地の投信を活用して運用した方が効率的との判断が背景にある。
 FOFのデメリットは運用コストが割高になりやすい点。投信が投信に投資するため、手数料が二重取りとなる恐れがある。運用環境によって各投信の組み入れ比率も変わるため、全体の運用コストも分かりづらい。例えば大和の新商品は年間の管理手数料が契約資産の一・五三%(分配型)だが、場合によって〇・二%程度増減する。
 「貯蓄から投資へ」という流れ自体は悪いことだとは思いません。
 しかし、問答無用でNGなインチキ商品も含めて、投資家にとって不利な商品が大々的に販売され、それが多くの個人投資家に受け入れられる現状をいささか危惧しています。
(ねずみ講のようなインチキと、ファンド・オブ・ファンズを同列に比較するべきではないことは承知しています)

 つい先日取り上げた、新型預金が不利な商品の筆頭に上げられますし、引用記事にあるファンド・オブ・ファンズ(FOF)もそれに該当します。
 ファンド・オブ・ファンズは一般的に、手数料が非常に高く投資家にとって有利ではありません

 ファンドの素材(中身)は個別の株式や債券などです。
 ファンド・オブ・ファンズの素材はファンドです。

 食料品や日用品など、あらゆる商品は、生産者から消費者までの流通過程に存在する中間業者が増えれば増えるほど小売(末端)価格が上昇します。
 金融商品も同じことです。基本的には素材(個別の株式や債券)を直接購入するのがコスト的には有利です。少なくとも、ファンド・オブ・ファンズに投資するのはコスト的に有利ではありません。

 やや強引ですが、投資家のコストについて優劣をつけるならば、
  1.株式などへの直接投資
  2.ファンドへの投資
  3.ファンド・オブ・ファンズへの投資
 という順序になります。

 もちろん、ファンド(投資信託)を通じての投資行動にはそれなりの合理性(比較的少額で分散投資が可能になりますし、投資対象によってはファンドを活用せざるを得ないものもあります。そして何より、お手軽なことは事実です)がありますので、一概に否定するものではありませんが、ファンド・オブ・ファンズのような商品が人気と資金を集めてしまうような状況があまり健全とは思いません。

 コストは確実な、実質リターンの低減要因です。
 投資先の金融商品のコストについて、もう少し真剣に検討してもバチはあたらないと思います。

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2006.09.15

ミクシィ大人気

 昨日、SNSで有名なミクシィが上場を果たしました。上昇初日は値が付かないほどの大人気だったようです。

 ミクシィのIPO価格(155万円)でのPERは約177倍でした。本日の気配値は315万円。現時点でのPERはざっくり、300倍ということになろうかと思います。
 ところで、年配投資家の方々の恨み節を時々耳にする、NTT(日本電信電話株式会社)の初値は160万円で、PERは約177倍だったそうです。ミクシィのPERは既にNTT上場時の2倍程度。

 PERは指標の一つにすぎませんので、こればかりに着目しても仕方ありませんし、成長著しいミクシィと上場時点で超大企業だったNTTを比較するものも問題があるとは思いますが、ミクシィの過熱感は否めません。
(ミクシィが現在の株価水準(って、初値がついていませんが)に見合う成長を遂げることを否定するものではありません)

 ミクシィが現在の株価水準を正当化する程に成長を遂げれば何の問題もないのですが、あまりに高すぎる株価が経営に悪影響を及ぼすのではないかと心配です。
 笠原健治社長は「将来は株式分割を考える必要が出てくるかもしれない」などと語られたそうですが、焦らずゆっくりと経営していただきたいところです。高株価は大きなプレッシャーになるでしょうから、心情を察するに大変だと思いますが。

 まぁ、私としては、成長の罠に気をつけて投資をしていきたいと思っていますので、ボチボチやっていきます。

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2006.08.10

日興の大型人気投信「ベストナイン」は高コスト

 昨日(2006/08/09)の日経金融新聞の記事を紹介します。5ページには、 日興の大型人気投信「ベストナイン」、信託報酬、実質3%超も、コスト構造の説明課題 という記事が掲載されていました。

 日興コーディアル証券が販売する投資信託「ベストナイン」に投資家の資金が流入している。国内外の株式・債券・通貨の売りと買いを組み合わせるなど高度な運用手法が売り物。申込手数料はゼロの半面、年間の管理・運用手数料(信託報酬)は最大で投資額の四%超かかる。「高すぎる」との批判も一部にあることから、ベストナインのコスト構造を分析。運用の高度化によって上昇傾向にある信託報酬の現状を探る。
 ベストナインの信託報酬(クラスB受益証券の場合)は、固定部分が年率で投資額の二・五五五%。ファンド・オブ・ファンズであるため他の投信も投資対象。資料には小さな文字で、他の投信の信託報酬が最大一・五%上乗せされることが記されている。トータルの信託報酬の上限値は四・〇五五%となる。
 もっとも、運用を担当するメロン・グローバル・インベストメンツ・ジャパンによれば「他の投信の信託報酬はディスカウントしてもらっている場合も多く、上乗せ分は〇・六%程度」。実際の信託報酬は三・一五%程度となる計算だ。
 水準自体は割高。例えばヘッジファンドや不動産、商品など十三種類の資産に分散投資する野村アセットマネジメントの「ノムラ・オールインワン・ファンド」の信託報酬は最大二・〇%。はやりの「三分法ファンド」では、信託報酬が一%未満のものも珍しくない。
 ベストナインの信託報酬が高いのは、「オーバーレイ」というハイテク運用を取り入れているため。これはデリバティブを利用して現物資産とは相関性の低い投資枠を作る手法。投資額の一割程度を証拠金とし、グローバルの株式・債券・為替それぞれで割安な銘柄を買って割高な銘柄を売るロングショート戦略を採る。
 このオーバーレイ部分の信託報酬が年率〇・五%あり、「オールインワン」との差につながっている。ただし「オーバーレイ部分の期待リターンは年率五%」(メロン)なので、実現可能性が高ければ信託報酬の上乗せ分は説明が付く。
 信託報酬の高さは、ファンド・オブ・ファンズのため関係法人が多いことも影響している。ファンド選択の助言会社(二社)への報酬が約〇・三%、販売支援を委託している日興アセットマネジメントにも約〇・二%の報酬を支払っている。
 実は販売手数料相当分が〇・六%強、信託報酬に含まれる。「申込手数料ゼロ」がベストナイン人気の一因だが、販売手数料は信託報酬に上乗せしてあるわけだ。
 しかも信託報酬は毎年課されるため、長期の運用成績に悪影響が出やすくなる。投資家ニーズの多様化を受け、今後複雑な仕組みの投信が増えれば、信託報酬の上乗せ要因は増えそう。販売に当たってはコスト構造を含めたていねいな説明が、一段と重要になる。

<以下略>

 長々と引用しましたが、コストを考えると、私にはこのファンドに投資するための合理性を見出すことができません。

 コストが高いことに加えて、そのコスト構造が極めて理解しづらいこともいただけません。あえてきつい言葉で申し上げれば、欺瞞に満ちている手数料体系です。

 単純な事実。投資信託のコストは安いのが望ましいと思います。

 投資対象からのリターンをコントロールすることはできません。しかし、コストは相当程度コントロールすることが可能です。

 山崎元氏はお金をふやす本当の常識―シンプルで正しい30のルールで指摘しています。

コストは確実なマイナスだ!
あやふやな期待リターンよりも、確実なコストに対してシビアになろう
 私はこの見解に賛同です。



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2006.08.05

投資家に不利な「分散型投信」が人気を博する現状について

 NIKKEI NETに気になる記事が掲載されていました。分散型投信、残高2兆円突破・「リスク抑制」で人気というものです。

 国内外の株式、債券、不動産に投資する「分散型投資信託」に個人マネーが流入している。残高は2兆円を突破し、この1年でほぼ10倍になった。資産の分散効果で値下がりリスクを抑えようとの商品設計が人気につながったとみられ、団塊世代などの購入が目立つという。

 投信の多くは「株式型」や「債券型」など特定の分野に集中投資している。これに対し「分散型」は不動産も含めて広く運用するのが特徴。QUICK・QBRによると現在の残高は約2兆1600億円にのぼり、商品数も昨年初めの3本から51本へと増えた。

 「分散型投信」は投資家にとってのメリットが極めて少ない商品だと思うのですが、人気を博しているようです。

 一般論で申し上げて、投資信託は高コスト。分散型投信はなおさら。
 使い勝手(?)に優れるというメリットはありますが、「「分法ファンド」は年金向き?」や「ファンド・オブ・ファンズはいいこと尽くめ?」などで触れたとおり、私はオススメしません。

 引用記事にあるような商品に対して、さほどの疑問もなく投資していらっしゃる方には、「投資バカ」につける薬を処方差し上げたいと思います。

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