2007.06.14

買収防衛策は嫌い

 米投資ファンド、スティール・パートナーズのウォレン・リヒテンシュタイン氏が世界初の記者会見を実施したそうです。

 例えば、FujiSankei Business i.では、
  ・スティール代表来日会見 「買収防衛策は違法」
  ・スティール代表一問一答 敵対でなく「未調整」
 などとして報じられています。

 ウォレン・リヒテンシュタイン氏の主張には、納得しかねる部分が多く、私としては好きではない投資行動です。さりとて、基本的に上場企業の株式を購入することは自由です。
 経営陣から、この類のファンドが厄介者扱いされるのは理解できますが、買収防衛策の導入で排除されるいわれはないと考えています。

 買収防衛策を導入する経営陣は「株主利益・企業価値向上」を謳うのが常ですが、買収防衛策導入でこれらが実現するかどうか、疑わしい案件が多々あります。率直に申し上げて、買収防衛策導入の大半は、経営陣の保身が真の目的ではないかなと推測しています。私、そんな、買収防衛策は嫌いです。

 以前にも申し上げましたが、「買収されるのも悪くない。」と、考えています。
 投資ファンドの功罪について、負の部分ばかりが強調されているような気がしてなりません。

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2007.05.14

買収されるのも悪くない。

 買収されるのも悪くない。私はそのように考えています。もちろん、すべてを肯定するわけではありませんが。

 産経新聞社のWebサイトには、買収防衛、信託銀行の支援事業が急成長という記事が掲載されています。

 TBSと楽天の攻防など、M&A(企業の合併・買収)が頻発するなか、信託銀行が手掛ける「買収防衛策の導入支援事業」に企業の熱い視線が注がれている。

 みずほ信託銀行では、一昨年秋から専門チームを設け、支援事業を本格化。企業が敵対的買収にさらされるリスクを分析し、最適の防衛策を設計するとともに、買収を仕掛けられた際に取るべき対応策を提示している。6月の総会に向けて同行と支援契約を結んだのは昨年は15社だったが、今年は約30社と倍増。住友信託銀行も契約企業数が昨年の3倍の約50社に達した。

<中略>

 全上場企業のうち、買収防衛策を導入している企業はまだ6%程度。敵対的M&Aの増加は必至で、信託各行の支援事業も加速しそうだ。

 株式を上場している企業の経営者が、自社の買収を毛嫌いする感情は理解できるような気がします。買収防衛策が存在するのであれば、活用したくなる気持ちも非常によく分かります。それをビジネスに結びつける、信託銀行の目の付け所はいい。

 しかし、企業(経営者)が買収防衛に腐心することが、望ましいこととは思えません。マスコミの報じる買収防衛策は、既存の株主にとって有意義である場合が少ないように感じます。個人的には、表面上分かりづらい、株式持合なども含めて、買収防衛策導入論者の経営する企業は好きではありません。日本企業全体に与える影響を考えれば、記事にあるような、信託銀行のビジネスが加速しないのが望ましいようにも考えています。

 そもそも、経営者自身が現在の株主からの信頼を獲得していれば、コスト負担をしてまで、特別な買収防衛策など講じる必要などないはずです。エージェンシーコストを考えても、買収防衛策を積極検討する経営者には問題があるのかも知れません。

 敵対的買収に限らず、M&Aには光と影の部分があると思いますが、一昔前に盛んに喧伝されたような、「敵対的買収悪玉論」や「外資脅威論」などには惑わされないようにしたいものです。


 ところで、日本は今でも「経済大国」の一角をなしていると思いますが、その地位は低下し続けていると考えています。北村慶氏の書籍、買収されるのも悪くない。では、第6章で「”ジャパン・パッシング(日本素通り)”の恐怖」について論じられています。その一節に、以下の記述があります。

日本が世界経済から取り残されても、世界の他の国々は以前よりは困らなくなってきている

 残念ながら、この事実は真摯に受け止めねばならないと思います。
 各企業の経営者が、買収防衛策導入していくことは、日本経済の活力を削ぐことになりかねないと、懸念しています。

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2006.10.17

夜間取引、終値一本値よりもオークション方式の方が優れていると思います

 SankeiWebに「オークション方式、売買低調 カブコム証券の夜間取引」という記事が掲載されていました。

 東京、大阪証券取引所の通常取引と同じ競売買(オークション)方式の株式夜間取引がスタートして1カ月がたった。帰宅してから取引したいという個人投資家の要望に応えたものだが、売買は低調。運営主体のインターネット専業大手、カブドットコム証券は、機関投資家との連携などで活性化を図る考えだ。

<中略>

 取引額について、カブコム証券は自社の日中の取引代金のほぼ2割に当たる日額20億円を目標としていたが、実態は予想以上に低迷し、日額平均9000万円強。「注文は結構出ているが、売値と買値が合わず取引が成立しないケースが多い」(雨宮猛常務執行役)という。

<中略>

 一方、各上場市場の終値での取引という別方式の夜間取引を、5年前から実施しているマネックス証券は、カブコム証券の夜間取引開始に合わせて手数料無料キャンペーンを実施(今月末まで)。夜間取引用に、機関投資家から市場価格より安い値段で売り出される「チャンス銘柄」も増やし、先月15日以降の取引額は1日平均約3億3000万円と、以前に比べて2割程度伸びたという。

 マネックス証券は「競売買方式では買いたい人は終値より安く、売りたい人は終値より高く注文を出すので、取引が成立しにくいと思っていたが、そのとおりの結果が出ている。(当社の)終値という一本値での取引の優位性がはっきりした」(戦略事業部の藤本誠之氏)と強調する。

<以下略>

 期待されたカブドットコム証券のPTSですが、現状の取引は低調なようです。市場がなんとなく軟調に思える時期にスタートしたというのも原因の一つなのだとは思います。

 ところで、引用記事にあるマネックス証券藤本誠之氏の見解には違和感を覚えます。

 確かに、カブドットコム証券のPTSは低調な出だしと評されても仕方のない状況なのでしょう。オークション方式のデメリットが表面化しているのかもしれません。
 オークション方式は単純に「東証や大証での取引時間外での出来事を価格に反映させられるに過ぎず、圧倒的な昼間市場(東証や大証のことです)がある以上、終値一本での取引さえできれば十分」との認識かも知れませんが、オークション方式でのPTSの存在意義を過小評価しているのではないかとも思います。

 東証や大証をはじめとする、取引所の多くがオークションシステムを採用しています。これがベストだと申し上げるつもりはありませんが、売りたい人と買いたい人の希望価格をすり合わせて、売買を成立させるのが株式取引では一般的。そして、この方式だからこそ、効率的な市場形成に資するものだとも考えています。

 もちろん、システムの構築コストや、夜間取引の参加者数等を考慮すれば、終値一本値での売買もアリだとは思います。マネックス証券が当面の現実解としてこの手法を採用していることも理解できます。しかし、「一本値での取引の優位性がはっきりした」という見解はいかがなものかと・・・。

 私は今のところ株式の夜間取引市場を利用したことはありません。
 ただ、実際に活用するならば、銘柄によりますが、マネックス証券カブドットコム証券の価格状況を比較して、有利な方で売買注文を執行することでしょう(笑)。今のところ、売買頻度は非常に少ない状況ですので、夜間取引の必要性をそれほど大きくは感じていません。(とはいえ、取引機会が拡大する取り組みには基本的に賛成です)
 いずれにせよ、今後、PTSがどのような形式で発展していくにせよ、基本的には、オークション方式が望ましいと思います。


PS 昼だろうと夜だろうと、その時々の状況によって、市場において株価が変動するのが素直な姿だと思います。一本値だと「情報を得られなかった参加者がより大きくやられてしまう(その逆もあり得ますね)」という状況がかなりの高確率で発生しうると思います。オークション方式でも同様のことが起こりえますが、一本値よりはある程度マシな価格形成がなされると思うのですが、いかがでしょうか。まぁ、ミクロのレベルでは「自己責任」という言葉で片付けていいような些細な問題かもしれませんが。

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2006.09.12

ユーロ台頭、3位は円からポンドに・外貨準備でBIS

 NIKKEI NETのニュース、ユーロ台頭、3位は円からポンドに・外貨準備でBISから引用です。

 国際決済銀行(BIS)は10日、四半期報告を公表、世界各国の外貨準備に占めるユーロの比重が今後、さらに高まる可能性を指摘した。円の比重低下にも言及し「3位の座が円から英ポンドに代わったことが近年で最も目立つ変化だ」とした。
 単純に「そうなのね」と流してしまっていいニュースかもしれないのですが、将来に一抹の不安を拭い去れません。要するに、円の凋落を見せ付けられているわけですから。

 自動車産業を筆頭に、日本に国際競争力を有する企業が少なからず存在する現状では、円安リスクを極度に恐れる必要はなさそうです。さりとて、一世を風靡した半導体産業が凋落していったように、「未来永劫の繁栄」など誰も保証してくれません。
 私など、外国投資をしている身分でありますが、「日本国が国際競争力を持ち続けること(≒円がそれなりの価値を維持して、国際的に流通しつづけること)」を強く望むところです。それなくして、私たちの豊かな生活は望めません(少なくとも、金銭的、物質的には・・・)。


 もちろん、悲観ばかりしても仕方がない。未来への対策はできることからやっていくのみ。個人でできることもありますから。
 個人レベルの資産運用では、貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメント―ノーベル賞学者とスイス人富豪に学ぶ智恵で端的な解説がなされているように、アセットアロケーションはとっても重要。

 外貨投資(外国資産への投資)は比較的高コストですが、余裕資金があるならば、実施を検討すべき。望まない事態ではありますが、日本の国力が漸減しつづける可能性は否定できません。その場合の対策は念頭に置くべきです。

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2006.07.24

良質のFPを見極めよう

 週刊ダイヤモンドの2006年7月29日号では保険の特集がありました。同誌から引用です。

 死亡保険商品を選ぶとき、必要補償額を自分の人生設計に従って細かく計算してもらうために、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談する人が増えている。販売代理店や保険会社が無料でそうしたFPサービスを提供することも多いが、保険会社の営業政策(どんな商品を重点的に売るか)に左右されて、必ずしも相談者に最も適した商品を紹介していない事例もあるようなので注意しよう。
 FPが本当に相談者のことを第一に考えているかどうかを簡単にチェックするポイントがある。前述した団体定期保険を薦めるかどうかだ。少なくとも、加入できるかどうかさえチェックしないFPは信用すべきではない。
 FPは第三者の立場から適格なアドバイスだと思い込むのは危険だ。まず良質のFPを見極めよう。
 指摘の通りだと思います。そもそも「保険に入る必要があるかどうか」を検討することが必要だとは思いますが、保険に加入するのが適格と判断したならば、同じ保障をより低廉に確保する手段があるかどうかを確認すべき。

 これからFPに保険の相談をしようとしている方は、勤務先や所属団体などに「福利厚生の一環や、労働組合などで扱っている保険の照会」をした上で、FPにアプローチするのが望ましいかも知れません。

PS ファイナンシャルプランナーも「食べていかねばならない」というのが現実です。可能な限り「冷やかし」はやめてあげてください(笑?)。もちろん「結果として冷やかしになってしまった」という事象は仕方がないと思います。FPへの義理や人情で保険契約する必要などありません。(個人的には日本人的な義理や人情は好きなんですけどね)
 付き合うなら、自分自身や家族のことを第一に考えてくれるFPを選択しましょう。

 なお、保険に加入すべきがどうか悩んでいるような方は、「投資バカ」につける薬を一読することをオススメします。



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2006.07.21

タマゴを生むニワトリを売却すべきかどうか

 簡単に・・・。

 2006/07/20の日経金融新聞1ページの不動産マネーに関する記事「利上げを越えて(中)長期保有で価値高める」から引用です。

 東京・港のJR田町駅の近くに立つ二棟のオフィスビル。住友不動産が開発中の物件だが、八―九月の開業を前に、テナントの成約率は五割程度しかない。オフィス需要が好転するなか、なぜこんな事態が生じるのか。

 話は住友不の主力ビル、六本木の「泉ガーデンタワー」が開業した四年前にさかのぼる。各社がオフィス賃料を大幅に下げるなか、住友不は泉ガーデンの値引きに一切応じなかった。当初の稼働率は五割程度で“空室ビル”として話題になったほど。だが、泉ガーデンも今では満室稼働で、住友不の収益拡大の一角を担う。
 開発したビルは急いで売らず、じっくり優良テナントを集めて物件の価値を高める戦略だ。従来型不動産経営ともいえ、大手不動産で唯一、傘下に不動産投資信託(REIT)を持たない。鶴田哲郎専務は「今後値上がりが見込めるのに、保有ビルを売る必要は無い」と説明する。

<以下略>

 不動産事業に限らず、自社の収益を生み出す”収益源”は外部に流出させないことが望ましい、という当然の事実を再認識です。
 良質なタマゴを生み続けるニワトリを売却してしまっては、一時的な収入を手にすることができても、それと引き換えに、タマゴからの継続的な収益は望めなくなります。
 ニワトリをよほどの高値で売却できるのならばハナシは違ってくるかも知れませんが、そうでなければ、売却の際には熟慮することが不可欠です。

 少しハナシが飛躍しますが、「当面のキャッシュを得るために、自社ビル&敷地を売却してしまえばOK。そうすれば資産規模も小さくなるから、効率経営が期待できる。事務所や店舗は賃貸してしまえば問題ないじゃん。不動産の売却によるキャッシュインを活用して、株主への配当もできちゃうしね」なんていう考え方がいささか乱暴であることも再認識できます。
 この場合、一時的に手元資金が潤沢になっても、将来の支払い(キャッシュアウト)は増加します。キャッシュは将来のために使うべきかも知れないのに、配当してしまってどうするの・・・。

 企業価値の源泉はなんだっけ?ということに改めて思いを馳せてしまうわけであります。
 ついでに、好き嫌いで申し上げれば、住友不動産のやり方が好きですね(笑)。もちろん、何でもかんでも抱え込んでしまうことが是だと申し上げるつもりは毛頭ありません。

PS 時々見聞きする論調「REITには本当に優良な物件は組み入れられていない」ということはウソではないのかも知れませんね。投資対象として同列に語るのはオカシイとも思いますが、REITへの投資よりも、もしかしたら・・・、「いわゆる不動産株」への投資が好ましい事例も考えられそうです。



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