2007.06.04

心の許容度

 私事ですが、最近、多少時間に追われています。blogの更新が滞り気味ですし、自分自身が実施している株式投資について、時価のチェックなども実施していません。ニュースを通じて、TOPIXやNYダウの状況はざっくり押さえていますので、そこから、自分自身の状況を推測する程度。

 そんな中、木村剛氏が最新版 投資戦略の発想法で主張していたことを思い出しました。
 新聞の株価欄やインターネットの「ヤフー・ファイナンス」を見なくても平気でやり過ごせるかどうか──ということが重要なポイントです。それができるのであれば、株をどんどん買うだけの心の許容度があるという証拠です。興味は十二分にあるけれども、株価の変動を冷静に受け止めることもできる──これが求められる心の許容度なのです。

 株価を確認しないよりは、確認する方がマシのような気がしますが、決して一喜一憂する必要はありませんし、木村剛氏が指摘するところの「心の許容度」は必要だと思います。株価が四六時中気になるようでは、ひとによっては、仕事や日常生活に差し支える場合もありそうです。

 ちなみに、投資成果の大半は、アセットアロケーションで決定されます(アセットアロケーションについては、名著、貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメント―ノーベル賞学者とスイス人富豪に学ぶ智恵で簡潔に説明されています)。自分なりのアセットアロケーションをざっくり決定して、その後は時々モニタリングする程度で、個人の資産運用は事足りるように考えています。

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2007.05.31

彼らの仕事はあなたから儲けることなのだ

 共同通信が、ねずみ講開設で4人逮捕 3000人から5億円集めるというニュースを報じています。
 以前、話題にした、パラダイスヘブンという投資案件に関する記事です。

 ねずみ講方式でインターネットのアダルトサイトのオーナーを募り、金を集めたとして、神奈川県警生活経済課は31日、無限連鎖講防止法違反(開設)容疑で、運営会社「エコ・グリーン」(千葉県浦安市)の実質的経営者芳賀一智容疑者(39)=東京都大田区中央=や社長の鴨川昌敬容疑者(41)=東京都渋谷区神泉町=ら4人を逮捕した。

 県警は、全国の約3000人から約5億円を集めたとみている。

 調べでは、4人は、インターネット上で、アダルトサイト「倶楽部パラダイスヘブン」のオーナーを1口約3万円で募り、新たなオーナーを1人紹介すれば2000円、さらに紹介者の数に応じて多額の配当を支払う仕組みでねずみ講を開設した疑い。

 同社は昨年5月中旬、「開設者が暴漢に襲われ、事業資金を奪われた」などとして、突然中断を宣言。集めた金はオーナーらに返金されず、昨年6月にも開設される予定だったサイトは開設されなかった。

 ねずみ講だと確信していたのですが、ようやく、容疑者の逮捕に至ったようです。確定判決までは推定無罪ではありますが、厳正なる処罰を望みます。
 また、投資詐欺は後を絶ちませんので、注意したいものです。ましてや、「ねずみ講」などへの参加は犯罪に加担する行為です。

 もちろん、ねずみ講などの詐欺案件以外でも、投資の勧誘には要注意。
 山崎元氏は、お金をふやす本当の常識―シンプルで正しい30のルールで以下のように述べています。
あなたがよく分からない商品への投資を見送ったとしても、損をするのは、設け損なった売り手の側であって、あなたではない
 チャールズ・エリス氏は、敗者のゲーム(新版) なぜ資産運用に勝てないのかで以下のように述べています。
彼らの仕事はあなたを儲けさせることではない。彼らの仕事はあなたから儲けることなのだ。
 
 投資の勧誘に出会った場合はとりあえず、
  ・ウマイ話は疑ってかかる
  ・投資先(商品内容)について理解できないものは避ける
  ・業者(担当者)の信頼性を確信できないものも避ける
 くらいの気持ちでいるのが無難です。

 投資しようかどうか迷った場合の判断は「見送り」が正解です。焦って投資する必要などありません。 

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2007.05.23

外貨資産の保有も考えよう

 円安が心配です。
 本日(2007/05/23)の日本経済新聞朝刊に掲載されていた「円、主要国通貨で最弱に、成長力の格差が背景に」という記事から引用します。
 外国為替市場で円が弱い。米景気の軟着陸を織り込んでドル安が進む一方で、ユーロが台頭し、通貨調整の焦点は人民元に集まっている。日本はグローバルな経済とマネーの流れの蚊帳の外になりつつあり、円は主要通貨としての地位さえ微妙になっている。

 ドル、円、ユーロの主要三通貨でみると、いま弱いのはドルと円だ。
 ドルは主要通貨に対する貿易加重平均で最安値圏にある。背景には米経済減速という循環要因とともに、「第二の基軸通貨」の地位をうかがうユーロの存在がある。四千億ドル近い外貨準備を持つロシアは、運用先を徐々にドルからユーロに移している。

 そのドルに対しても弱いのが円だ。対ドルでは一ドル=一二一円台に下落、対ユーロでは一ユーロ=一六〇円台の最安値。物価を加味した実質で円の貿易加重平均は円高への為替調整で日米欧が一致した一九八五年のプラザ合意前の低水準だ。
 悲しいかな、円の地位が揺らいでいます。
 円安は景気にとって追い風という側面がありますが、日本の将来に不安を感じます。

 円安については、円キャリートレードと称されるような、
 円安を促すのは個人マネーの日本脱出だ。家計の外貨建て資産残高は昨年末で四十兆円だが、外貨投資信託の設定額は五月だけで二兆円に迫る。ボーナスシーズンの六月も勢いは衰えそうにない。「外への資金の流れはとまらない」と中島敬雄みずほコーポレート銀行常務執行役員はいう。
 というような事象があるのですが、

 中長期的な視野に立つと、問題はここにとどまらないように思います。世界における日本のプレゼンスが低下していくだろうという予測が、為替レートに現れているような気がしてなりません。
 円安は足元では企業収益を押し上げ、景気を支えている。だが、長い目でみれば海外との成長力格差という日本経済のもろさを映している可能性がある。
 国内非製造業などの生産性向上の遅れ、非効率な官のシステム――。経済の体質を改善するための課題は山積している。実質二%の巡航速度の成長に慢心せず、海外から日本への投資をどう呼び込み、グローバルな成長の輪にどうつながるか。心地よい円安への安住はその解にならない。
 一般論として、円安は日本企業の収益力を高めますし、景気にとっても追い風です。外貨投資を実施している立場から見れば、「利益を取れる」という状況でもあります。
 円安は喜ばしいことと捉えられなくもないのですが、「日本の通貨である、円の価値が下がっている」という現実を決して忘れてはならないと考えています。日本で生活する大半の人々にとっては、自国通貨の価値が低い円安よりも、円高が望ましいはずです。円安に安住している場合ではありません。

 将来の為替レートは、日本で生活している私たちの行動で変えられます。悲観ばかりして仕方がない。

 このように申し上げつつも、他方では、為替リスクに耐えられる余裕資金があるならば、老後などの将来を見据えて、外貨資産を保有しておくことも必要だと考えています。

 外貨への投資は、コストやリスクの観点からは積極的にお勧めし辛いのですがl、「日本がダメになった場合」の備えはしておくのが無難だと思います。日本の国力が漸減するとともに、日本円の価値も漸減していくことが懸念されますので。


PS 「外貨投資」を実施する場合、やたらと手数料の高い投資信託や外貨預金には要注意です。ましてや、オフショアを喧伝するような悪徳詐欺業者(オフショアを強調するすべての業者が悪ではありませんが)には注意しましょう。

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2007.05.05

金融商品の取引はオンラインで完結させるのが望ましい

朝日新聞のWebサイトに、個人国債、鈍る販売 郵政公社、計画の6割という記事が掲載されています。

 日本郵政公社の個人向け国債の販売額が今年に入り、計画を下回っている。4月発行分は初めて2種類ある個人国債のいずれも計画に届かず、販売額は計画の約6割にとどまった。郵政公社が今年秋の民営化を控え、国債よりも手数料収入が高い投資信託の販売に力を入れていることが背景にある。国債を販売してほしい財務省には不満がたまりつつある。

 「客に個人国債を自ら勧めることはありません。投資信託を売るのが先決だから」

 中部地方の郵便局の営業担当職員は、こう漏らす。職員の「投信の販売目標」は月約1000万円。郵政公社は「ノルマではない」としているが、職員は「上司からは、達成しないとクビだと言われている」。

 郵政公社は各郵便局の投信販売を競わせるためにランキングを作っている。投信の販売実績は職員の手当にも影響する一方で、個人国債は評価の対象外で「職場でほとんど話題にもならない」という。

 職員は客に対し、元本割れのリスクがあることを丁寧に説明しているつもりだ。しかし「客が完全には理解していないと思いつつ、ノルマを達成するために投信を売ることがある」と告白する。

 公社の内部資料には、投信と個人国債の手数料収入の比較が掲載されている。10万円分を販売した場合、10年間の手数料収入は個人国債の604円に対し、投信は6500円と約10倍だ。

 郵政公社は個人向け国債の販売に熱心ではなく、投資信託の販売に注力しているのだとか。
 このこと自体が問題だとは思いませんが、

  ・ノルマ達成のために、理解の至らない客に対しても、リスク商品を販売する

 という行為は大問題。多かれ少なかれ、他の金融機関でも実施されていることだとは思いますが、だからといって、許容されることでもありません。
 加えて、以下のような問題も発生しているとか。
財務省には「郵便局に国債を買いに行ったのに、投信を勧められた」といった苦情も寄せられている。
 窓口で、顧客の希望と異なる商品を勧奨する場合があるそうです。このようなセールスは、金融商品に限らず、販売の現場では日常的に行われています。販売側が顧客のことを考えた結果であれば、問題にはならないのでしょうが、おそらく、そのようなケースは稀です。

 私は、郵政公社で「個人向け国債」「投資信託」のいずれも購入したことはありません。仮に、今後どちらかを購入するとするならば、おそらく、「個人向け国債」を購入することになるかと思います。個人向け国債は(変動10年)は、購入者に有利な金融商品だと思いますし、それ以上に、投資信託での資産運用は、手数料が高すぎるものが大半でバカバカしいのです。

(ETFなど、少数ですが、手数料水準の抑えられた、良心的な投資信託も存在しています)

 金融機関の窓口など、対面販売で取引をする場合、しらずしらず、コストが高く、投資家にとってメリットの少ない商品を勧奨される可能性があります。

 山崎元氏がブログなどで述べられている
 余計な商品(投信、個人年金)のセールスに晒されないためにも、銀行を利用するコツは、銀行員と顔を合わせないようにすることだ(ネットバンキングとATMで、出来るだけ済ませる)
 という方針は、もしかしたら自分自身の財産を守ることにつながるのかも知れません。

 私自身も何度も経験しているのですが、銀行に限らず、対面販売の現場では大抵、高コストの商品を勧奨されます。

 これを防ぐ有効な手段が、ネット銀行、ネット証券の活用です。金融商品に関する知識がほんの少しだけ必要になりますが、試してみる価値はあると思います。

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2006.12.09

なぜ投資のプロはサルに負けるのか?― あるいは、お金持ちになれるたったひとつのクールなやり方

 ブログ「金融日記」で有名な、藤沢数希氏の著書、なぜ投資のプロはサルに負けるのか?― あるいは、お金持ちになれるたったひとつのクールなやり方を読了しました。投資について、懇切丁寧に解説された良書だと思います。良書ですので紹介。

 この書籍、投資家が知っておくべき、ファイナンス理論である、効率的市場仮説からポートフォリオ理論も含めて、ファイナンスの思考ツールを提供してくれます。
 こう書くと、難しい書籍のように思われるかも知れませんが、要するに「投資やギャンブルでカモられない知識と考えるキッカケを得られる書籍」と考えればよろしいかと思います。

 表紙を一枚めくったところの記述、

日本人は、お金のことを知らなさすぎます。お金の世界では、世界中の秀才たちがネギをしょったカモを手ぐすね引いて待ちかまえているのが現実です。
家、教育、保険、投資・・・・・・人生で突き当たる難問をどうしたらいいのか?現役外資系投資銀行マンの著者が、やさしく、楽しく、身もフタもなく解説します。
 に偽りはありません。

 詳しくは本書をお読みいただきたいのですが、なぜ投資のプロはサルに負けるのか?― あるいは、お金持ちになれるたったひとつのクールなやり方、一度読んでおいて損はない書籍だと思います。

 ファイナンスについて有益であるばかりでなく、オリジナリティ溢れる文章も含めて楽しめます。エンターテイメントとしても秀逸です。
 もちろん、「投資のプロがサルに負ける理由」も明快に解説されていまし、「お金持ちになれるクールなやり方」についても誰でも実践できる方法が紹介されています。

PS. 具体的に紹介したい部分は何箇所もあるのですが、本書をほぼ読了しかけの頃に登場する、206~207ページの「一生ファイナンシャル・アドバイザーいらずの究極のフローチャート」は素晴らしい。解説と最先端の金融工学に基づくフローチャートを「納得しながら、笑って受け入れられる」という方は、将来、カモになってしまう確率は比較的低いものと思われますし、本当に「一生ファイナンシャル・アドバイザーいらず」で生活できるような気がします。私自身FPのハシクレでありながら、身も蓋もないことを申しあげますが、アドバイザーは首にするくらいで丁度いいと思いますので。

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2006.12.06

年金運用にみる、分散投資の効用

 日本経済新聞社のWebサイトに「公的年金、7―9月は2兆3609億円の運用益」という記事が掲載されています。

 厚生年金と国民年金の積立金を株式や債券で運用する年金積立金管理運用独立行政法人は5日、今年7―9月の運用益が2兆3609億円になったと発表した。運用利回りは3.22%だった。8月から米国の株価が上昇し、2兆32億円の赤字だった4―6月から大幅に改善した。

 運用益の38.33%を外国株式が占めた。次いで、国内債券(27.88%)、外国債券(19.87%)の収益が大きかった。

 短期的なトラックレコードですが、分散投資の効果を見て取ることができます。
 数ヶ月前には、企業年金連合会の運用についても、分散投資の重要性を再認識できる記事がありました。

 投資には当然、リスクが伴います。
 しかしながら、適切なアセット・アロケーションに基づいた投資を実行すれば、リスクを抑えながら、収益を確保することが可能になるのです。投資は決して難しいものではありません。

 もちろん、私たち個人投資家も分散投資を実施することが可能です。
 その効用、例えばWEB上の資料「分散投資、再考の時」で解説されていますし、書籍「貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメント―ノーベル賞学者とスイス人富豪に学ぶ智恵」(この書籍は本当にオススメです)などでも平易に解説されています。

 分散投資は、期待リターンを犠牲にすることなくリスクを大幅に軽減させる手段です。
 投資に際して、「あの銘柄を購入しようか、それともこっちの銘柄だろうか・・・」などと悩むのは楽しくて大切なことですが、その前に、分散投資やアセット・アロケーションについて考えることが必要だと考えています。

 このような運用、一般的(かつ大雑把)に「ポートフォリオ運用」と称されるのですが、以下に紹介するような、重大な意義があります。

 実は、長期の資産運用においては、「A社の株を買うか、B社の株を買うか」といった個別銘柄の選別はほとんどパフォーマンス(運用成績)に影響しないのです。
 一方で、「各資産に何割ずつ投資するか」というアセット・アロケーションが運用成績の90%程度を左右する、ということが多くの学術的研究によって実証的に証明されています。
 (貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメント―ノーベル賞学者とスイス人富豪に学ぶ智恵105ページより引用)

 年金積立金管理運用独立行政法人の運用が好調だったのは単なる偶然ではありません。勝因は適切なポートフォリオ運用を愚直に貫いたことにあります。そして、繰り返しになりますが、その手法は私たちの資産運用にも応用することができるのです。

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2006.11.19

マネックス証券の「円建て債券 ~豪ドル償還特約付~」

 マネックス証券で、円建て債券 ~豪ドル償還特約付~という債券の取り扱いが開始されています。
 この商品、松本大氏のブログにおいては、仕組み債とのエントリにおいて、「比較的有利な商品である」と読み取れる説明がなされています。

 しかし、なんとなく「仕組み債」という言葉からは「投資家にとって不利じゃないの?」という雰囲気が漂います。この商品はお得なのでしょうか?

 商品の概要は、

■ 利率 年3.3%(税引前) 利払いは日本円で行われます
■ 1年満期 満期償還日:2007年11月28日(水)
■ お申込は10万円から
■ 満期時の元本(償還金)は、日本円または豪ドルでお受け取り(※)

※ 償還金のお受け取り通貨は、観察期間中の豪ドル/円の為替レート水準により決定されます。

 とのこと。満期時の受け取り通貨が、投資時点では未確定で、具体的には以下の条件によるようです。
・観察期間中、一度も当初より9円以上の円高にならなければ・・・ → 日本円で償還
・観察期間中、一度でも当初より9円以上の円高になると・・・ → 豪ドルで償還
 なるほど・・・。
 これを単純に解釈すると、

  ・円の価値が高まる円高にならならければ、円で償還。
  ・円の価値が高まる円高になれば、オーストラリアドルで償還。

 ということのように思えます。要するに、投資家にとって不利な通貨で償還がなされる仕組みです。
(商品のイメージとしては、大雑把にこれと似たような感じで捉えておくといいのかも)

 一応、観察期間中(投資期間中とほぼ同一の意味合いだと思われます)に一度9円以上円高になった後、為替が大幅な円安になれば得をするということはあり得るのでしょうが、さりとて、普通に外貨投資していれば、相応の為替差益は享受できます。
 別段、有利な商品ではなさそうです。

 こんなややこしい仕組みを活用するくらいなら、素直に豪ドルMMF(マネックスで取り扱いの豪ドルMMFは、現時点で年利5.4%程度)や、FX(為替保証金取引)を活用したほうがメリットが大きいのではないかと思います。
 仕組み債の「円で3.3%の金利」が有利であるとは思えません。円ベースでの元本が保証されているわけではありません。「元本+金利」のトータルで負けたのでは意味がない。

 普通に外貨MMF(豪ドル)に投資をしていれば、変動の可能性があるものの、当面は3.3%以上の金利を得られそうです。
 仕組み債を利用する価値があるのは、少なくとも「今後の日豪金利差が急速に縮小する」という見通しを持つ方などに限定されるのではないかと思います。その上で、為替の動向も読まねばならない。もっとも、そこまでの洞察力がある方ならば、仕組み債を活用するという結論には至らないでしょう。

 私たち個人レベルでは、シンプルな投資が一番だと思います。現状、円ベースで元本保証の年率3.3%運用なんてことはあり得ません。ないものねだりをしたって仕方がない。
 一見有利そうに思える「円の3.3%運用」の裏には、見えにくいリスクが潜んでいます。

 もちろん、外貨MMFやFXへの投資においても、コストやリスクは相応に負担することになります。円ベースの通常の預貯金では高金利は得られません。
 それでも、妙なカラクリが仕組まれた「仕組み債」よりは遥かにマシだと思います。

 私たちが仕組み債を利用するメリットはほとんどなさそうです。
 金融商品はいろいろありますが、広告などに「特約」とか「仕組み」という言葉が出現したら要注意ですね。


PS. この商品が「円建て債券」と称して販売されることには、違和感を覚えます。一般的な円建て商品のイメージと乖離があるような気がしてなりません。

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2006.11.04

ロンドン証取、東証と提携協議

 ここ最近、東京証券取引所に関する報道が気になっています。

 例えば、本日(2006/11/04)の日本経済新聞はロンドン証取、東証と提携協議というニュースを伝えています。

 英ロンドン証券取引所が東京証券取引所に対し業務提携を申し入れたことが明らかになった。株価指数連動型の上場投資信託(ETF)の相互上場などを打診しており、東証側も協議に入ることで合意した。東証は米ニューヨーク証券取引所とも提携を協議しており、覇権争いの激しい欧米の有力取引所がアジア本格進出に向け、東証へのパイプづくりを競い始めた。

 先月にロンドン証取の幹部が東証を訪れ、提携を申し入れた。それぞれの市場に上場しているETFの相互上場などを通じて投資マネーの拡大を目指すほか、株式売買システムの共同開発、新興企業向け市場の活性化策など幅広く提携の可能性を探る。


 読売新聞は東証、ロンドン・ドイツ両証券取引所と提携協議へと報じています。
 東京証券取引所は4日、ロンドン証券取引所とドイツ取引所との業務提携協議を、それぞれ年内にも開始する方針を明らかにした。

 上場投資信託(ETF)の相互上場や、新しい上場商品の開発、システム整備に関する情報交換などを検討する。さらに、2009年までに予定されている東証の自社株上場後に、数%程度の株式を持ち合うことなども視野に入れる。

 東証はすでに、ニューヨーク証券取引所との業務・資本提携協議を始めているが、国際的な取引所再編の動きに対応するため、欧州を含めた幅広い提携先を模索する必要があると判断した。米最大の先物取引所であるシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)との間でも、先物取引の活性化策などで業務提携を目指す考えだ。

 ロンドン、ドイツ両取引所は、成長著しいアジアの新興企業を取り込むには、東証との関係強化は不可欠と見ている。特にロンドン証取は、米ナスダック市場を運営するナスダック・ストック・マーケットからの買収提案を拒否するために、東証との関係強化を含めた新たな国際戦略を示す必要に迫られていた。

 今すぐに提携ということにはならないようですが、今後の推移に注目です。

 個人の資産運用においても、アセットアロケーションは非常に重要です。
 しかしながら、海外資産への投資は国内資産への投資と比較して、多少なりともコストと手間がかかるのが現実です。

 もしかしたら、ETFなどの相互上場などを通じて、私たち投資家に恩恵をもたらしてくれるかも知れません。国際分散投資がより簡単になるかも知れないのですから。日本企業への投資拡大や、東京マーケットの世界的な地位向上などに資することも考えられなくはありません。

 「証券取引所のガバナンスはどうあるべきか?」とかというような問題がありますので、提携を無条件に歓迎するわけにはいかないのでしょうが。

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2006.10.29

仕組み預金について(森永卓郎氏の見解)

 本日も簡単に、新型預金(仕組み預金)について触れます。
 今回紹介するのは、森永卓郎氏の見解です。非常にわかりやすい。

 ニッポン放送のポッドキャストで、簡潔な解説がなされています。
 森永卓郎経済コラム10月27日 満期を銀行が決める「しくみ預金」は、資金に余裕があるときに。(リンク先はmp3ファイルです)

 私など、資金に余裕があっても、この類の金融商品は利用すべきでないと考えています。
 上記リンク先での森永卓郎氏の見解で、説明不足に感じる面もありますが、総論としては、彼の見解に同意です。

 「預金」という慣れ親しんで、信頼できそうな言葉にだまされてはいけません。

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2006.10.25

新型預金(仕組み預金)の被害が現実に・・・

 過去に何度もとりあげた、新型預金(仕組み預金)について。
 預金者にとってあまりにも不利なこの商品、このblogでも例えば、悪質な新型定期預金新型定期預金(仕組み預金)の解約コストなどのエントリで採り上げています。決して勧められない、金融商品です。

 昨日、この類の金融商品について、朝日新聞社のWebサイトに記事が掲載されていました。新型預金、リスク説明義務強化 金融庁方針という記事です。

 預け入れ時点では金利が通常の定期預金より高いものの、銀行側の都合で満期が延長・短縮される可能性のある新型預金が2年半前に登場し、残高が急速に増えている。ただ、途中で解約すると元本を割る場合が多く、預金者から苦情が続いている。商品内容の説明が不十分だった可能性があり、残高が最も多い新生銀行への苦情が目立つため、金融庁は同行への聞き取り調査に乗り出した。同庁は新型預金を「投資商品」とみなし、顧客への説明義務を投資信託並みに強化する方針だ。

 この新型預金はオプションやスワップという金融技術を使うことから、「デリバティブ預金」「仕組み預金」とも呼ばれる。新生銀行が04年4月、初めて個人向けに扱い始め、今年9月末現在の残高は約1兆円。この1年半で倍増し、同行の個人預金残高の3分の1を占める。一部他行も追随し、全国で約20行が扱っているとみられる。

 新生の主力商品「パワード・ワン プラス」は満期が5年もしくは10年。当初5年の金利は年1.5%で、大手行の5年定期預金の約3倍だ。ただし、満期を5年延長するかどうかは、預け入れ5年後が近づいた時点で銀行が決める。延長後の金利は年1.6%。

 原則として中途解約はできない。銀行側が違約金を取って応じる場合もあるが、違約金の額は解約時にしか分からない。過去には最大で9%の元本割れがあったという。

<以下略>

 この商品の誕生当初から懸念していた事態が現実になりつつあるようです。

 新型預金には本当にヒドイ仕組みが内包されています。市中金利が上がれば上がるほど、預金者は大損する恐ろしい金融商品。
 引用記事中にある「過去には最大で9%の元本割れ」というのも、金利が今なお低水準であるからこそ、この程度の元本割れで落ち着いているとも言えます。

 最悪ともいえる金融商品を販売する側は、元本割れの可能性が極めて高く、元本割れの水準も驚くべき高額になる可能性を承知していたはず。本来ならば、金融機関が商品の危険性について利用者(預金者)に対して十分な説明を実施すべきところ。理解の至らない預金者には決して販売してはならないような商品なのですから。
 もちろん、利用者の側にも問題があるのですけどね・・・。

 金融庁が消費者保護に乗り出すのは結構ですが、そもそも、こういう事態を招いてしまうことがとても悲しい。

PS. 新型預金の恐ろしさについては、金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレかに詳しく記述されています。新型預金のような馬鹿げた金融商品を利用を検討しているならば、この書籍は必読です。じっくり読んでから、お金の運用先を再考しましょう。

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