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2006.11.02

投信で運用する投信が大人気

 私たち投資家は、さほど賢明ではないのかもしれません。
 まるで、山崎元氏が「投資バカ」につける薬で指摘しているように。

 昨日(2006/11/01)の日本経済新聞夕刊1ページには、「投信で運用する投信、残高10兆円を突破、9月末、前年の2.1倍、低リスク型主流」という記事が掲載されていました。

 投資信託のうち、投信で運用するファンド・オブ・ファンズ(FOF)の残高が九月末、十兆円を突破した。株式や債券など多様な資産で運用する投信を運用対象とすることで、価格変動リスクを抑えたことが、安定した運用を希望する中高年の運用ニーズをとらえている。公募株式投信の残高が過去最高を更新するなか、新型投信が個人マネーの「貯蓄から投資」の流れを後押ししている。
 投資信託協会によると、九月末のFOFの純資産残高は十兆一千四百億円に達した。投信ブームを背景に残高はこの一年で二・一倍に増加。商品の本数も二百五十四本と同二七%増加した。
 FOFの中で、主流は分散投資して価格変動リスクを抑えたタイプ。価格変動率は日本株だけで運用する投信の半分以下だ。投資の入門的な商品として人気を集め、野村アセットマネジメントが株式と債券の投信に投資する「マイストーリー」の残高は十月中旬に一兆円を突破した。同社は自社で運用を完結するよりも他社も含め優良な投信で運用することで、より高いリスクの分散効果が期待できるとみている。
 最近では株や債券のほか、不動産や商品まで加えた多資産タイプも登場している。大和証券は十一月中旬に七つの資産の投信で運用する新商品「ライフハーモニー」を投入する。組み入れ先の投信選びは投信評価専門の大和ファンド・コンサルティングを活用。多資産タイプの投入は同社として初めてで、投資の初心者の開拓を狙う。
 このほか、ピーシーエー・アセット・マネジメントの「インド株式オープン」など新興国へ投資する商品も、FOF形式で設定するケースが多い。日本で新興国株の運用体制を一から組むよりも、現地の投信を活用して運用した方が効率的との判断が背景にある。
 FOFのデメリットは運用コストが割高になりやすい点。投信が投信に投資するため、手数料が二重取りとなる恐れがある。運用環境によって各投信の組み入れ比率も変わるため、全体の運用コストも分かりづらい。例えば大和の新商品は年間の管理手数料が契約資産の一・五三%(分配型)だが、場合によって〇・二%程度増減する。
 「貯蓄から投資へ」という流れ自体は悪いことだとは思いません。
 しかし、問答無用でNGなインチキ商品も含めて、投資家にとって不利な商品が大々的に販売され、それが多くの個人投資家に受け入れられる現状をいささか危惧しています。
(ねずみ講のようなインチキと、ファンド・オブ・ファンズを同列に比較するべきではないことは承知しています)

 つい先日取り上げた、新型預金が不利な商品の筆頭に上げられますし、引用記事にあるファンド・オブ・ファンズ(FOF)もそれに該当します。
 ファンド・オブ・ファンズは一般的に、手数料が非常に高く投資家にとって有利ではありません

 ファンドの素材(中身)は個別の株式や債券などです。
 ファンド・オブ・ファンズの素材はファンドです。

 食料品や日用品など、あらゆる商品は、生産者から消費者までの流通過程に存在する中間業者が増えれば増えるほど小売(末端)価格が上昇します。
 金融商品も同じことです。基本的には素材(個別の株式や債券)を直接購入するのがコスト的には有利です。少なくとも、ファンド・オブ・ファンズに投資するのはコスト的に有利ではありません。

 やや強引ですが、投資家のコストについて優劣をつけるならば、
  1.株式などへの直接投資
  2.ファンドへの投資
  3.ファンド・オブ・ファンズへの投資
 という順序になります。

 もちろん、ファンド(投資信託)を通じての投資行動にはそれなりの合理性(比較的少額で分散投資が可能になりますし、投資対象によってはファンドを活用せざるを得ないものもあります。そして何より、お手軽なことは事実です)がありますので、一概に否定するものではありませんが、ファンド・オブ・ファンズのような商品が人気と資金を集めてしまうような状況があまり健全とは思いません。

 コストは確実な、実質リターンの低減要因です。
 投資先の金融商品のコストについて、もう少し真剣に検討してもバチはあたらないと思います。

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