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2006.11.19

マネックス証券の「円建て債券 ~豪ドル償還特約付~」

 マネックス証券で、円建て債券 ~豪ドル償還特約付~という債券の取り扱いが開始されています。
 この商品、松本大氏のブログにおいては、仕組み債とのエントリにおいて、「比較的有利な商品である」と読み取れる説明がなされています。

 しかし、なんとなく「仕組み債」という言葉からは「投資家にとって不利じゃないの?」という雰囲気が漂います。この商品はお得なのでしょうか?

 商品の概要は、

■ 利率 年3.3%(税引前) 利払いは日本円で行われます
■ 1年満期 満期償還日:2007年11月28日(水)
■ お申込は10万円から
■ 満期時の元本(償還金)は、日本円または豪ドルでお受け取り(※)

※ 償還金のお受け取り通貨は、観察期間中の豪ドル/円の為替レート水準により決定されます。

 とのこと。満期時の受け取り通貨が、投資時点では未確定で、具体的には以下の条件によるようです。
・観察期間中、一度も当初より9円以上の円高にならなければ・・・ → 日本円で償還
・観察期間中、一度でも当初より9円以上の円高になると・・・ → 豪ドルで償還
 なるほど・・・。
 これを単純に解釈すると、

  ・円の価値が高まる円高にならならければ、円で償還。
  ・円の価値が高まる円高になれば、オーストラリアドルで償還。

 ということのように思えます。要するに、投資家にとって不利な通貨で償還がなされる仕組みです。
(商品のイメージとしては、大雑把にこれと似たような感じで捉えておくといいのかも)

 一応、観察期間中(投資期間中とほぼ同一の意味合いだと思われます)に一度9円以上円高になった後、為替が大幅な円安になれば得をするということはあり得るのでしょうが、さりとて、普通に外貨投資していれば、相応の為替差益は享受できます。
 別段、有利な商品ではなさそうです。

 こんなややこしい仕組みを活用するくらいなら、素直に豪ドルMMF(マネックスで取り扱いの豪ドルMMFは、現時点で年利5.4%程度)や、FX(為替保証金取引)を活用したほうがメリットが大きいのではないかと思います。
 仕組み債の「円で3.3%の金利」が有利であるとは思えません。円ベースでの元本が保証されているわけではありません。「元本+金利」のトータルで負けたのでは意味がない。

 普通に外貨MMF(豪ドル)に投資をしていれば、変動の可能性があるものの、当面は3.3%以上の金利を得られそうです。
 仕組み債を利用する価値があるのは、少なくとも「今後の日豪金利差が急速に縮小する」という見通しを持つ方などに限定されるのではないかと思います。その上で、為替の動向も読まねばならない。もっとも、そこまでの洞察力がある方ならば、仕組み債を活用するという結論には至らないでしょう。

 私たち個人レベルでは、シンプルな投資が一番だと思います。現状、円ベースで元本保証の年率3.3%運用なんてことはあり得ません。ないものねだりをしたって仕方がない。
 一見有利そうに思える「円の3.3%運用」の裏には、見えにくいリスクが潜んでいます。

 もちろん、外貨MMFやFXへの投資においても、コストやリスクは相応に負担することになります。円ベースの通常の預貯金では高金利は得られません。
 それでも、妙なカラクリが仕組まれた「仕組み債」よりは遥かにマシだと思います。

 私たちが仕組み債を利用するメリットはほとんどなさそうです。
 金融商品はいろいろありますが、広告などに「特約」とか「仕組み」という言葉が出現したら要注意ですね。


PS. この商品が「円建て債券」と称して販売されることには、違和感を覚えます。一般的な円建て商品のイメージと乖離があるような気がしてなりません。

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