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2006.10.17

夜間取引、終値一本値よりもオークション方式の方が優れていると思います

 SankeiWebに「オークション方式、売買低調 カブコム証券の夜間取引」という記事が掲載されていました。

 東京、大阪証券取引所の通常取引と同じ競売買(オークション)方式の株式夜間取引がスタートして1カ月がたった。帰宅してから取引したいという個人投資家の要望に応えたものだが、売買は低調。運営主体のインターネット専業大手、カブドットコム証券は、機関投資家との連携などで活性化を図る考えだ。

<中略>

 取引額について、カブコム証券は自社の日中の取引代金のほぼ2割に当たる日額20億円を目標としていたが、実態は予想以上に低迷し、日額平均9000万円強。「注文は結構出ているが、売値と買値が合わず取引が成立しないケースが多い」(雨宮猛常務執行役)という。

<中略>

 一方、各上場市場の終値での取引という別方式の夜間取引を、5年前から実施しているマネックス証券は、カブコム証券の夜間取引開始に合わせて手数料無料キャンペーンを実施(今月末まで)。夜間取引用に、機関投資家から市場価格より安い値段で売り出される「チャンス銘柄」も増やし、先月15日以降の取引額は1日平均約3億3000万円と、以前に比べて2割程度伸びたという。

 マネックス証券は「競売買方式では買いたい人は終値より安く、売りたい人は終値より高く注文を出すので、取引が成立しにくいと思っていたが、そのとおりの結果が出ている。(当社の)終値という一本値での取引の優位性がはっきりした」(戦略事業部の藤本誠之氏)と強調する。

<以下略>

 期待されたカブドットコム証券のPTSですが、現状の取引は低調なようです。市場がなんとなく軟調に思える時期にスタートしたというのも原因の一つなのだとは思います。

 ところで、引用記事にあるマネックス証券藤本誠之氏の見解には違和感を覚えます。

 確かに、カブドットコム証券のPTSは低調な出だしと評されても仕方のない状況なのでしょう。オークション方式のデメリットが表面化しているのかもしれません。
 オークション方式は単純に「東証や大証での取引時間外での出来事を価格に反映させられるに過ぎず、圧倒的な昼間市場(東証や大証のことです)がある以上、終値一本での取引さえできれば十分」との認識かも知れませんが、オークション方式でのPTSの存在意義を過小評価しているのではないかとも思います。

 東証や大証をはじめとする、取引所の多くがオークションシステムを採用しています。これがベストだと申し上げるつもりはありませんが、売りたい人と買いたい人の希望価格をすり合わせて、売買を成立させるのが株式取引では一般的。そして、この方式だからこそ、効率的な市場形成に資するものだとも考えています。

 もちろん、システムの構築コストや、夜間取引の参加者数等を考慮すれば、終値一本値での売買もアリだとは思います。マネックス証券が当面の現実解としてこの手法を採用していることも理解できます。しかし、「一本値での取引の優位性がはっきりした」という見解はいかがなものかと・・・。

 私は今のところ株式の夜間取引市場を利用したことはありません。
 ただ、実際に活用するならば、銘柄によりますが、マネックス証券カブドットコム証券の価格状況を比較して、有利な方で売買注文を執行することでしょう(笑)。今のところ、売買頻度は非常に少ない状況ですので、夜間取引の必要性をそれほど大きくは感じていません。(とはいえ、取引機会が拡大する取り組みには基本的に賛成です)
 いずれにせよ、今後、PTSがどのような形式で発展していくにせよ、基本的には、オークション方式が望ましいと思います。


PS 昼だろうと夜だろうと、その時々の状況によって、市場において株価が変動するのが素直な姿だと思います。一本値だと「情報を得られなかった参加者がより大きくやられてしまう(その逆もあり得ますね)」という状況がかなりの高確率で発生しうると思います。オークション方式でも同様のことが起こりえますが、一本値よりはある程度マシな価格形成がなされると思うのですが、いかがでしょうか。まぁ、ミクロのレベルでは「自己責任」という言葉で片付けていいような些細な問題かもしれませんが。

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