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2006.10.15

上期の新規株式公開銘柄――9割初値下回る

 少々古い(2006/10/12)のですが、日経金融新聞の「上期の新規株式公開銘柄――9割初値下回る、ヘラクレス、マザーズ、5割の下げ」という記事を紹介です。

 日本経済新聞社が今年四―九月の新規株式公開(IPO)銘柄について、初値から十一日終値への騰落率を集計したところ、全体の約九割に当たる七十四銘柄の同日終値が初値を下回っていることがわかった。市場別や主幹事証券会社別に集計した騰落率の平均値も軒並みマイナスで、特に大証ヘラクレスと東証マザーズは、ほぼ五〇%安と値下がりの大きさが際だっている。
 調査対象は、国内の全株式市場に新規上場した八十三社で、不動産投資信託(REIT)は除いた。IPO人気で九割以上の七十五社は初値が公開価格を上回ったが、その後の株価急落で、全銘柄の初値からの下落率は平均四一%に達した。七割の五十七銘柄は公開価格をも割り込む水準に低迷している。
 私はマザーズやヘラクレスなどの市場が存在し、上場への門戸が広げられてることを肯定的に捕らえています。
 反面、マネー雑誌や一部の書籍などで「IPO銘柄で大儲け!」というような扱われ方をみるにつけ、違和感を感じているのも事実です。

 IPO銘柄の多くで、公開直後の急騰期待があるのは事実。現実に「大儲け」している人が存在するもの事実。反面、損失を発生させている人が存在するのも事実。

 儲かることに対する期待が大きすぎるがために「企業の実態と比較して、高すぎる株価」を許容してしまう市場参加者に問題があると考えています。
 市場はそれなりに効率的だと思いますし、効率的であるならば、IPO銘柄も「それなりの水準」の株価形成がなされるかと思うのですが、どうもそのようになっているとは思えません。
 現状のIPOの実態はかなり歪んでいると判断しています。これは経済全体にとってあまり好ましいことではありません。

 例えば、投資銀行―日本に大変化が起こるにおいて、岩崎日出俊氏は、

 資本主義、市場主義がきちんと機能することによりヒト・モノ・カネが市場を通じて効率的に配分されるようになり社会全体がよりいっそう豊かになる
と述べています。個々の投資家が投資先企業の存在意義や将来性について考察することが、自分自身と社会全体の利益に繋がるのです。

 IPO銘柄にも価格の下落リスクがあるのは、日経金融新聞の記事を引き合いに出すまでもなく、当然のことですし、実際に価格が下落していく銘柄が少なくありません。
 投資家の考え方はひとそれぞれですが、期待や値動きに踊らされている(その大半は個人でしょう)とするならば、投資家自身にとっても好ましいことではないと考えます。


 最後に、ベンジャミン・グレアム氏の言葉を紹介したいと思います。

 新規公開株の大半は「良好な市場環境」の下で売り出される。つまり、売り手にとって良好なのであって、買い手にとっては、さほど良好ではない。
 名著、賢明なる投資家の一節です。

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