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2006.10.18

IPO銘柄に投資するのもいいけれど・・・

 昨日、いとすぎさんのblogにIPOに関する記事が掲載されていました。
 JPモルガン・アセット・マネジメントの太田忠氏がNIKKEI NETの経済羅針盤に寄稿した、ベンチャー市場、そろそろ「中央集権化」の議論をという記事を受けてのエントリです。

 私も両氏の意見に賛同です。各論では見解が異なるところもあるでしょうが、首をかしげるIPOが少なくない。例えば、太田忠氏は以下のように主張しています。

今年のIPOは要注意企業が多い

 私が所属するJPモルガンの小型株チームにおけるIPO企業のロードショー(投資家向け説明会)のカバー率はおよそ90%である。ロードショーとは、IPOする企業が上場前に機関投資家を訪問して事業内容や企業戦略について説明をおこなう場である。したがって、ほとんどのIPOの経営者とのミーティングの機会を持っている。しかしながら、はっきり言って、今年のIPO銘柄は事業会社としてのクオリティーが低く、投資できるような企業がまことに少ない。創業者利益確定のためのゴール上場、ベンチャーキャピタル会社主導の無理やり上場、ビジネスモデルのない単なる箱会社の上場などのケースが目につく。

 例えば、昨年のIPO企業に対する我々のブックビルディング(需要調査)の参加率は約50%程度あった。これは公募価格ベースであれば投資したい企業がIPOのうち半分あったことを示している。昨年は、初値がつくと公募価格の2 倍以上になるケースが多かった。ところが今年の参加率は10%を切っている。これは公募価格ですら投資したくない企業がほとんどということである。

 市場間との競争において、取引所同士が新規公開株の上場誘致に懸命であることは理解できる。ただし、他の市場に先を越されず、数の確保のために質を落としてまで競争している。それを今年のIPO企業の中身が如実に物語っている。

 以前より、一般的な議論として2000年以降に上場した新興企業は問題が多いことは指摘されていた。そして、実際に社長が逮捕される刑事問題に発展したり、上場廃止になったりする企業が数多く出ているが、今年のIPO企業組はひどい状況だ。おそらく、3年もしないうちに上場維持に耐えられないような会社が多く出てくるのではないか。

 少なくとも、JPモルガン・アセット・マネジメントにおいては、直近のIPO銘柄をあまり肯定的には捉えていないようです。おそらく、他の運用会社の見解も似通っているのではないかと推測します。

 それにもかかわらず、株式市場では個人投資家を主体とした、新規公開銘柄を通じた、巨大なババ抜きゲームが繰り広げられているように思います。ババを抜きたくなければ、不完全であっても投資先企業について判断することが不可欠だと思います。
 「IPO銘柄は儲かるから」などという発想で、下手な鉄砲数打ちゃ当たるとばかりに執着するのはあまり賢い投資行動ではなさそうです。

 吉本佳生氏は、金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレかにおいて、新規公開株(IPO投資)について、「儲かる確率は高いのだから、手当たり次第に抽選に申し込め」という類のアドバイスについて検証した上で、以下のように述べています。

新規公開株の公募で儲けられる確率は、多くの人が直感的に想像する確率よりも低い確率になります。滅多に当たらない抽選に、もし自分が当たったときには、「すごい幸運だ」と喜ぶ前に、「自分が当たるなんて、何か問題があるのではないか」と疑ってみることも大切です。もちろん、本当に幸運である可能性もあるでしょうが。
 一般論としては「誰もが欲しがる大人気銘柄(短期的に儲かる可能性が高い)は当選確率が低く、欲しがる人が少ない不人気銘柄(儲かるどころか損をする可能性が高い)は当選確率が高い」ということになろうかと思います。これを、自分自身に当てはめてみると、どうなるでしょうか???

 IPO銘柄への投資も結構ですが、その前に本当に投資に値するものかどうか、考えてみる必要がありそうです。

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