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2006.10.29

仕組み預金について(森永卓郎氏の見解)

 本日も簡単に、新型預金(仕組み預金)について触れます。
 今回紹介するのは、森永卓郎氏の見解です。非常にわかりやすい。

 ニッポン放送のポッドキャストで、簡潔な解説がなされています。
 森永卓郎経済コラム10月27日 満期を銀行が決める「しくみ預金」は、資金に余裕があるときに。(リンク先はmp3ファイルです)

 私など、資金に余裕があっても、この類の金融商品は利用すべきでないと考えています。
 上記リンク先での森永卓郎氏の見解で、説明不足に感じる面もありますが、総論としては、彼の見解に同意です。

 「預金」という慣れ親しんで、信頼できそうな言葉にだまされてはいけません。

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2006.10.25

新型預金(仕組み預金)の被害が現実に・・・

 過去に何度もとりあげた、新型預金(仕組み預金)について。
 預金者にとってあまりにも不利なこの商品、このblogでも例えば、悪質な新型定期預金新型定期預金(仕組み預金)の解約コストなどのエントリで採り上げています。決して勧められない、金融商品です。

 昨日、この類の金融商品について、朝日新聞社のWebサイトに記事が掲載されていました。新型預金、リスク説明義務強化 金融庁方針という記事です。

 預け入れ時点では金利が通常の定期預金より高いものの、銀行側の都合で満期が延長・短縮される可能性のある新型預金が2年半前に登場し、残高が急速に増えている。ただ、途中で解約すると元本を割る場合が多く、預金者から苦情が続いている。商品内容の説明が不十分だった可能性があり、残高が最も多い新生銀行への苦情が目立つため、金融庁は同行への聞き取り調査に乗り出した。同庁は新型預金を「投資商品」とみなし、顧客への説明義務を投資信託並みに強化する方針だ。

 この新型預金はオプションやスワップという金融技術を使うことから、「デリバティブ預金」「仕組み預金」とも呼ばれる。新生銀行が04年4月、初めて個人向けに扱い始め、今年9月末現在の残高は約1兆円。この1年半で倍増し、同行の個人預金残高の3分の1を占める。一部他行も追随し、全国で約20行が扱っているとみられる。

 新生の主力商品「パワード・ワン プラス」は満期が5年もしくは10年。当初5年の金利は年1.5%で、大手行の5年定期預金の約3倍だ。ただし、満期を5年延長するかどうかは、預け入れ5年後が近づいた時点で銀行が決める。延長後の金利は年1.6%。

 原則として中途解約はできない。銀行側が違約金を取って応じる場合もあるが、違約金の額は解約時にしか分からない。過去には最大で9%の元本割れがあったという。

<以下略>

 この商品の誕生当初から懸念していた事態が現実になりつつあるようです。

 新型預金には本当にヒドイ仕組みが内包されています。市中金利が上がれば上がるほど、預金者は大損する恐ろしい金融商品。
 引用記事中にある「過去には最大で9%の元本割れ」というのも、金利が今なお低水準であるからこそ、この程度の元本割れで落ち着いているとも言えます。

 最悪ともいえる金融商品を販売する側は、元本割れの可能性が極めて高く、元本割れの水準も驚くべき高額になる可能性を承知していたはず。本来ならば、金融機関が商品の危険性について利用者(預金者)に対して十分な説明を実施すべきところ。理解の至らない預金者には決して販売してはならないような商品なのですから。
 もちろん、利用者の側にも問題があるのですけどね・・・。

 金融庁が消費者保護に乗り出すのは結構ですが、そもそも、こういう事態を招いてしまうことがとても悲しい。

PS. 新型預金の恐ろしさについては、金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレかに詳しく記述されています。新型預金のような馬鹿げた金融商品を利用を検討しているならば、この書籍は必読です。じっくり読んでから、お金の運用先を再考しましょう。

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2006.10.23

ジム・ロジャーズ氏のポジショントーク?

 最近、ジム・ロジャーズ氏の露出(?)が増えているように思います。その背景にはおそらく、この商品の存在があるものと思います。勿論、それだけではないとも思いますが。

 ジム・ロジャーズ氏の「商品一般は供給体制が整うまで相当の時間を有し、短期的な供給増は見込めない。一方、需要は拡大中である。よって、価格は当面(2014年~2022年くらいを想定しているようです)上昇をし続ける」という趣旨の見解は参考に値すると思いますし、「商品投資をすべき」という主張にも基本的には同感です。 
(とはいえ、私自身はコストを勘案して、現時点では商品投資を実施していません。投資は株式中心です)

 他方、このような主張にはどうも賛同できません。

 日本の人口は一億二五〇〇万人。そのうち商品に投資している人は一〇万人です。だから私は商品の市場について楽観的なのです。これまで商品を買っていない日本の人たちが買うようになったら、市場は大きく成長するはずです。アメリカもヨーロッパも同じです。まだまだ商品に投資している人が少ないのです。もし、アメリカやヨーロッパの人たちも商品への投資を始めたら、市場は大変な勢いで上昇するでしょう。
 アジアの人口は三〇億人。このほとんどが、株式には投資しているのに、商品には投資していません。

<中略>

 多くの人たちが、商品こそ投資すべき対象だと認識したら、非常に強い上昇局面となるでしょう。

フィナンシャルジャパン2006年12月号p21より引用)

 あからさまなポジショントークじゃないの?と、一応ツッコミを入れておきます(笑)。
 ジム・ロジャーズ氏の主張に一理はあると思いますが、市場参加者が増えれば、上昇相場がするという発想にはささやかな異論を唱えたいと思います。仮に、相場が上昇するとしても、実需を超えた資金流入があるとすれば、それはバブルに過ぎないものになると想定されます。
 「市場参加者が増えるから、先回り投資しておくべき」という発想はあまり合理的ではないと考えています。
 もちろん、市場参加者が増えることは、より効率的な市場形成に資することが想定されますので、基本的には歓迎すべきことだと思います。

 ところで、投資判断にあたっては、ジム・ロジャーズ氏は

 一生懸命自分で勉強してください。きちんと自分で調べてから投資を行ってほしいのです。
(先ほどと同様、フィナンシャルジャパン2006年12月号p21より引用)

 とも述べています。やはり、都合のいい情報だけに飛びつくのではなく、自分自身で考えることが大切なようです。

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2006.10.19

株式評論家の各種銘柄(企業)への投資判断について思うこと

 雑誌、マネージャパン2006年12月号を読みました。
 マネー雑誌らしく、派手な内容が多いのですが、毎号楽しく読んでいます。

 ところで、マネー雑誌では数多くの銘柄診断がなされています。率直に申し上げて、これらの銘柄診断や推奨銘柄はアテになりません。
 マネー雑誌における個別銘柄についての記述について、突っ込んでも仕方がないのですが、本日はあえてツッコミ。

 事例として、恐縮ながら、木村佳子さんの見解を取りあげます。
 彼女は「銘柄相談室」(72ページ)で、読者からのHOYA(7741)の見通しついての質問に対する回答で、

 同社は時価総額が2兆円近くあり、買収されるリスクは小さいと思います。

<中略>

せっかくの優良株ですから、長期で5000円突破を待ってみるのもひとつの手です。

 と述べています。どうやら、買収リスクが小さいことが保有継続推奨(?)の根拠のひとつになっているようです。

 翻って、「プロが厳選!今月の注目株」(77ページ)では、TDK(6762)について、

 2007年からの商法改正に伴う三角合併解禁で、米国企業が日本企業の買収や統合を株式交換で行うことができるようになる。自分を外国人と置き換えると、なんとしても欲しい日本企業はどこだろう?

<中略>

 株価9000円台ですでに時価総額1.26兆円に迫るが、今の価格帯ではM&A(企業の合併・買収)に狙われるリスクがある。増配や個人向けIR(企業の広報活動)の強化などでさらなる上値を期待したい。

 と述べています。こちらでは、買収リスクがあることが推奨の根拠となっているようです。
 買収リスクは、高い方が望ましいの?低い方が望ましいの?買い要因?売り要因?

 株式投資をするにあたって、企業のどこに着目すべきなのか、事情は個別の企業によって異なります。経営者や事業内容などを判断して、同じ買収リスクが、ある企業にはプラスに作用し、別の企業にはマイナスに作用することもありえます。

 木村佳子さんはさまざまな事情を勘案した上で、投資判断を下しているのでしょうが、恐縮ながら、私にはその判断の根拠が明確には見えてきません。
(増配や個人向けIRが株価上昇(上値)につながるとの見解にも、若干の疑問があります)

 雑誌などで語られる推奨銘柄、参考にするのは結構なのですが、鵜呑みにするのは避けた方がよさそうです。買収リスク一つとっても、個別銘柄によって、投資判断が分かれます。
 話半分に聞いておいて、自分で判断することが不可欠なように思えてなりません。

PS. 木村佳子さんを批判する意図はありませんので念のため。また、買収リスクについては、余程の時価総額を有する一部企業は例外として、暴論ながら「リスクに晒されているくらいが丁度いい」ような気もします。個人的な好き嫌いで申し上げれば、おかしな買収防衛策を講じるような企業は好きではありません。

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2006.10.18

IPO銘柄に投資するのもいいけれど・・・

 昨日、いとすぎさんのblogにIPOに関する記事が掲載されていました。
 JPモルガン・アセット・マネジメントの太田忠氏がNIKKEI NETの経済羅針盤に寄稿した、ベンチャー市場、そろそろ「中央集権化」の議論をという記事を受けてのエントリです。

 私も両氏の意見に賛同です。各論では見解が異なるところもあるでしょうが、首をかしげるIPOが少なくない。例えば、太田忠氏は以下のように主張しています。

今年のIPOは要注意企業が多い

 私が所属するJPモルガンの小型株チームにおけるIPO企業のロードショー(投資家向け説明会)のカバー率はおよそ90%である。ロードショーとは、IPOする企業が上場前に機関投資家を訪問して事業内容や企業戦略について説明をおこなう場である。したがって、ほとんどのIPOの経営者とのミーティングの機会を持っている。しかしながら、はっきり言って、今年のIPO銘柄は事業会社としてのクオリティーが低く、投資できるような企業がまことに少ない。創業者利益確定のためのゴール上場、ベンチャーキャピタル会社主導の無理やり上場、ビジネスモデルのない単なる箱会社の上場などのケースが目につく。

 例えば、昨年のIPO企業に対する我々のブックビルディング(需要調査)の参加率は約50%程度あった。これは公募価格ベースであれば投資したい企業がIPOのうち半分あったことを示している。昨年は、初値がつくと公募価格の2 倍以上になるケースが多かった。ところが今年の参加率は10%を切っている。これは公募価格ですら投資したくない企業がほとんどということである。

 市場間との競争において、取引所同士が新規公開株の上場誘致に懸命であることは理解できる。ただし、他の市場に先を越されず、数の確保のために質を落としてまで競争している。それを今年のIPO企業の中身が如実に物語っている。

 以前より、一般的な議論として2000年以降に上場した新興企業は問題が多いことは指摘されていた。そして、実際に社長が逮捕される刑事問題に発展したり、上場廃止になったりする企業が数多く出ているが、今年のIPO企業組はひどい状況だ。おそらく、3年もしないうちに上場維持に耐えられないような会社が多く出てくるのではないか。

 少なくとも、JPモルガン・アセット・マネジメントにおいては、直近のIPO銘柄をあまり肯定的には捉えていないようです。おそらく、他の運用会社の見解も似通っているのではないかと推測します。

 それにもかかわらず、株式市場では個人投資家を主体とした、新規公開銘柄を通じた、巨大なババ抜きゲームが繰り広げられているように思います。ババを抜きたくなければ、不完全であっても投資先企業について判断することが不可欠だと思います。
 「IPO銘柄は儲かるから」などという発想で、下手な鉄砲数打ちゃ当たるとばかりに執着するのはあまり賢い投資行動ではなさそうです。

 吉本佳生氏は、金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレかにおいて、新規公開株(IPO投資)について、「儲かる確率は高いのだから、手当たり次第に抽選に申し込め」という類のアドバイスについて検証した上で、以下のように述べています。

新規公開株の公募で儲けられる確率は、多くの人が直感的に想像する確率よりも低い確率になります。滅多に当たらない抽選に、もし自分が当たったときには、「すごい幸運だ」と喜ぶ前に、「自分が当たるなんて、何か問題があるのではないか」と疑ってみることも大切です。もちろん、本当に幸運である可能性もあるでしょうが。
 一般論としては「誰もが欲しがる大人気銘柄(短期的に儲かる可能性が高い)は当選確率が低く、欲しがる人が少ない不人気銘柄(儲かるどころか損をする可能性が高い)は当選確率が高い」ということになろうかと思います。これを、自分自身に当てはめてみると、どうなるでしょうか???

 IPO銘柄への投資も結構ですが、その前に本当に投資に値するものかどうか、考えてみる必要がありそうです。

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2006.10.17

夜間取引、終値一本値よりもオークション方式の方が優れていると思います

 SankeiWebに「オークション方式、売買低調 カブコム証券の夜間取引」という記事が掲載されていました。

 東京、大阪証券取引所の通常取引と同じ競売買(オークション)方式の株式夜間取引がスタートして1カ月がたった。帰宅してから取引したいという個人投資家の要望に応えたものだが、売買は低調。運営主体のインターネット専業大手、カブドットコム証券は、機関投資家との連携などで活性化を図る考えだ。

<中略>

 取引額について、カブコム証券は自社の日中の取引代金のほぼ2割に当たる日額20億円を目標としていたが、実態は予想以上に低迷し、日額平均9000万円強。「注文は結構出ているが、売値と買値が合わず取引が成立しないケースが多い」(雨宮猛常務執行役)という。

<中略>

 一方、各上場市場の終値での取引という別方式の夜間取引を、5年前から実施しているマネックス証券は、カブコム証券の夜間取引開始に合わせて手数料無料キャンペーンを実施(今月末まで)。夜間取引用に、機関投資家から市場価格より安い値段で売り出される「チャンス銘柄」も増やし、先月15日以降の取引額は1日平均約3億3000万円と、以前に比べて2割程度伸びたという。

 マネックス証券は「競売買方式では買いたい人は終値より安く、売りたい人は終値より高く注文を出すので、取引が成立しにくいと思っていたが、そのとおりの結果が出ている。(当社の)終値という一本値での取引の優位性がはっきりした」(戦略事業部の藤本誠之氏)と強調する。

<以下略>

 期待されたカブドットコム証券のPTSですが、現状の取引は低調なようです。市場がなんとなく軟調に思える時期にスタートしたというのも原因の一つなのだとは思います。

 ところで、引用記事にあるマネックス証券藤本誠之氏の見解には違和感を覚えます。

 確かに、カブドットコム証券のPTSは低調な出だしと評されても仕方のない状況なのでしょう。オークション方式のデメリットが表面化しているのかもしれません。
 オークション方式は単純に「東証や大証での取引時間外での出来事を価格に反映させられるに過ぎず、圧倒的な昼間市場(東証や大証のことです)がある以上、終値一本での取引さえできれば十分」との認識かも知れませんが、オークション方式でのPTSの存在意義を過小評価しているのではないかとも思います。

 東証や大証をはじめとする、取引所の多くがオークションシステムを採用しています。これがベストだと申し上げるつもりはありませんが、売りたい人と買いたい人の希望価格をすり合わせて、売買を成立させるのが株式取引では一般的。そして、この方式だからこそ、効率的な市場形成に資するものだとも考えています。

 もちろん、システムの構築コストや、夜間取引の参加者数等を考慮すれば、終値一本値での売買もアリだとは思います。マネックス証券が当面の現実解としてこの手法を採用していることも理解できます。しかし、「一本値での取引の優位性がはっきりした」という見解はいかがなものかと・・・。

 私は今のところ株式の夜間取引市場を利用したことはありません。
 ただ、実際に活用するならば、銘柄によりますが、マネックス証券カブドットコム証券の価格状況を比較して、有利な方で売買注文を執行することでしょう(笑)。今のところ、売買頻度は非常に少ない状況ですので、夜間取引の必要性をそれほど大きくは感じていません。(とはいえ、取引機会が拡大する取り組みには基本的に賛成です)
 いずれにせよ、今後、PTSがどのような形式で発展していくにせよ、基本的には、オークション方式が望ましいと思います。


PS 昼だろうと夜だろうと、その時々の状況によって、市場において株価が変動するのが素直な姿だと思います。一本値だと「情報を得られなかった参加者がより大きくやられてしまう(その逆もあり得ますね)」という状況がかなりの高確率で発生しうると思います。オークション方式でも同様のことが起こりえますが、一本値よりはある程度マシな価格形成がなされると思うのですが、いかがでしょうか。まぁ、ミクロのレベルでは「自己責任」という言葉で片付けていいような些細な問題かもしれませんが。

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2006.10.15

上期の新規株式公開銘柄――9割初値下回る

 少々古い(2006/10/12)のですが、日経金融新聞の「上期の新規株式公開銘柄――9割初値下回る、ヘラクレス、マザーズ、5割の下げ」という記事を紹介です。

 日本経済新聞社が今年四―九月の新規株式公開(IPO)銘柄について、初値から十一日終値への騰落率を集計したところ、全体の約九割に当たる七十四銘柄の同日終値が初値を下回っていることがわかった。市場別や主幹事証券会社別に集計した騰落率の平均値も軒並みマイナスで、特に大証ヘラクレスと東証マザーズは、ほぼ五〇%安と値下がりの大きさが際だっている。
 調査対象は、国内の全株式市場に新規上場した八十三社で、不動産投資信託(REIT)は除いた。IPO人気で九割以上の七十五社は初値が公開価格を上回ったが、その後の株価急落で、全銘柄の初値からの下落率は平均四一%に達した。七割の五十七銘柄は公開価格をも割り込む水準に低迷している。
 私はマザーズやヘラクレスなどの市場が存在し、上場への門戸が広げられてることを肯定的に捕らえています。
 反面、マネー雑誌や一部の書籍などで「IPO銘柄で大儲け!」というような扱われ方をみるにつけ、違和感を感じているのも事実です。

 IPO銘柄の多くで、公開直後の急騰期待があるのは事実。現実に「大儲け」している人が存在するもの事実。反面、損失を発生させている人が存在するのも事実。

 儲かることに対する期待が大きすぎるがために「企業の実態と比較して、高すぎる株価」を許容してしまう市場参加者に問題があると考えています。
 市場はそれなりに効率的だと思いますし、効率的であるならば、IPO銘柄も「それなりの水準」の株価形成がなされるかと思うのですが、どうもそのようになっているとは思えません。
 現状のIPOの実態はかなり歪んでいると判断しています。これは経済全体にとってあまり好ましいことではありません。

 例えば、投資銀行―日本に大変化が起こるにおいて、岩崎日出俊氏は、

 資本主義、市場主義がきちんと機能することによりヒト・モノ・カネが市場を通じて効率的に配分されるようになり社会全体がよりいっそう豊かになる
と述べています。個々の投資家が投資先企業の存在意義や将来性について考察することが、自分自身と社会全体の利益に繋がるのです。

 IPO銘柄にも価格の下落リスクがあるのは、日経金融新聞の記事を引き合いに出すまでもなく、当然のことですし、実際に価格が下落していく銘柄が少なくありません。
 投資家の考え方はひとそれぞれですが、期待や値動きに踊らされている(その大半は個人でしょう)とするならば、投資家自身にとっても好ましいことではないと考えます。


 最後に、ベンジャミン・グレアム氏の言葉を紹介したいと思います。

 新規公開株の大半は「良好な市場環境」の下で売り出される。つまり、売り手にとって良好なのであって、買い手にとっては、さほど良好ではない。
 名著、賢明なる投資家の一節です。

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2006.10.06

株価の上昇は喜ばしいことだけれども

 昨日(2006年10月5日)時点で、株価が久々の高値をつけました。
 高値といえども、4カ月半振りの水準ですので、受け止め方はひとそれぞれでしょうが。

 ところで、私は今回の事象を「あぁ、そうか」程度にしか考えていません。後付解釈で、理由を考えることはしていますが・・・、こんなことで「よーし、株式市場は強気転換だ!」などとも思いません。。
 「市場が軟調だから、投資行動はこうあるべき。市場が堅調だから、投資行動はこうあるべき」などという評論家の見解とも一定の距離をおきます。
 アセットアロケーションを考えながら、のんびり投資するというのが基本姿勢。今のところ、それなりにうまくいっています。
 一言で乱暴にまとめますと「リスク許容度とコストに配慮した長期分散投資」です。

 例外もあるでしょうが、「値動きを注視しながら頻繁に売買を行う投資家の利回りは低迷しがちである」という一般論は成り立つとも思います。

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2006.10.03

ファンド規制、不動産に激震――私募スキームの転換迫る投資サービス法

 日経ビジネス2006年10月2日号を眺めていましたら、気になる記事を発見。「ファンド規制、不動産に激震――私募スキームの転換迫る投資サービス法」というものです。

 REIT(不動産投資信託)を含めた不動産ファンドの市場規模は10兆円近い。その中でも、半分の5兆円余りを私募ファンドが占めている。
 その私募ファンドは、親ファンドと子ファンドという2層構造を取ることが多い。この場合、外部の投資家が出資するのは親ファンド、実際に不動産を取得するのは子ファンドである。

<中略>

 親ファンドが子ファンドに出資する際、物件取得などについて、私募ファンドを設立した不動産会社は親ファンドに助言している。この助言業務がが実質的には一任業務ではないのか――。この点を金融庁は問題視していた。

<中略>

 投資サービス法の成立が叫ばれたのは、金融商品が多様化する中で、横断的に規制をかける必要性が生じたためだ。今回の投資サービス法で、信託受益権は投資サービス法の網の中に入る。これまでは必要なかったが、私募ファンドを運営する不動産会社は一任であれば投資運用業、助言ならば投資助言代理業の登録をする必要がある。

 どのような分野であれ、過剰な規制は望みません。とはいえ、実質的に不動産会社が運用をしているのであれば、運用に必要な資質を備えていることを、外形的にも整えておくべきなのでしょう。
 ところで、投資サービス法は今後の私募ファンドに大きな影響を与える可能性があるようです。運用体制を見直せばいいとか、しかるべき登録をすればよいとか、そんなレベルに留まらず・・・。

 親ファンドの下に多くの子ファンドがぶら下がる仕組みは、運用の現実に即したものだと言えなくもありません。記事中(引用していませんが)にもあるとおり、投資先不動産の取得時期や、不動産取得のための金融機関からの借入れ条件などがバラバラであるためです。

 有る意味では合理的なスキームに思えなくもありませんが、記事では以下のようにも指摘しています。

 これまで不動産業界では、私募ファンド間の信託受益権の売買が当たり前のように行われていた。その売買を通して収益を上げてきた面もある。だが、投資サービス法では、運用会社がファンドなどの運用財産間で売買することを原則として禁止している。

<中略>

 私募ファンドには、ファンド間で不動産を転がし、REITを出口に使っているという批判も根強く残る。

 子ファンドの取引が健全に行われているならば、今後は原則禁止になるとはいえ、このこと自体は大して問題にはならない。しかし、REITが出口として使われて、ババを掴まされているとしたら、由々しき事態です。

 この後の運用が気になりますし、少し飛躍した発想かもしれませんが、過去に「不健全な不動産取引」があったとするならば、その実態について知りたいところです。

PS. 不動産ファンドについては、投資ファンドとは何か 知っておきたい仕組みと手法において、非常に分かりやすく解説されています。「ヘッジファンド」「企業投資ファンド」についても、丁寧な解説がありますので、興味のある方は一読することをオススメします。

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