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2006.07.29

一度下がった株価が元に戻るのは大変!という論調について

 一昨日に続いて、マネージャパンの2006年9月号の記事を紹介します。株式投資の初心者を対象とした「MJビーパップ・株スクール」という連載企画があります。そこでは、株式評論家・作家として有名な北浜流一郎氏の見解が紹介されていました。

 「儲ける秘訣は”逃げるが勝ち”。損切りを徹底しよう!」ということで、以下の記述がありました。

 100万円の株が50万円まで下げたとしましょう。下落率は50%ですよね。では、50万円の株が100万円に戻るには、率にしてどれほど上がればいいのでしょうか?答えは100%です。つまり、2倍ってことですよね。下がったのは50%なのに、それが元に戻るためには、実に100%も上昇しなければならないのです。
 要するに、株価は一度下げるとなかなか元には戻れない。だから損失は小さいうちに切ってしまうに限る、ということになるのです。
 下落率と上昇率を根拠して、損切が重要だとする論調は頻繁に見聞きします。なんとなく説得力があるような意見にも思いますが、あまり意に介する必要がないとも思います。
 確かに、短期的に株価は大きく変動します。しかし、長期的には株価は上昇すると考えて差し支えありません。

 例えば、ジェレミー・シーゲル氏は、株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらすで以下のように述べています。

 株式の推移をみると、1802年に投資した1ドルが、2003年末、購買力にして59万7485ドルになっている。長期国債では1ドルから1072ドル、短期国債では1ドルから301ドルなので、株式の成績は債権をはるかに上回っている。地金は、一部の投資家の間で人気が高い資産だが、インフレの影響を調整すると、1ドルの200年後の価値は1.39ドルにしかならない。インフレの影響は、積もり積もればかなり大きくなる。図をみればわかるとおり、現在の1ドルも、200年後には購買力にして7セント程度になる。
 株式は他の資産に対して、圧倒的な優位を示している。地合の悪化や、政治的、経済的な危機に見舞われ、基調を逸れる局面もあるものの、成長を生み出す原動力を備えるだけに、そのたびに元の水準を回復してきた。200年の間には、恐慌があり、戦争があり、金融危機があり、最近では2001年のテロ攻撃があり、2002年には会計スキャンダルがあったが、株式のリターンは、だれの目にもあきらかな回復力を示してきた。
 また、同氏は株式投資 長期投資で成功するための完全ガイドで非常に簡潔に以下のように述べています。
 値動きを注視しながら頻繁に売買を行う投資家の利回りは低迷しがちである
 確かに、一度下がった株価が元に戻るのは大変かもしれません。
 しかし、余裕資金での投資であれば、どれほど株価が下落しようとも耐えられるはずです。

 単に価格や値動きの大きさを基準にして売買するのが適切であるとは思いません。このような投資行動では自分自身が利益を獲得することは難しいかも知れません。
 売買を繰り返えせば繰り返すほど、投資家から証券会社に富が移転することになります。

 最後に、Larry Swedroe氏の著書、ウォール街があなたに知られたくないことの一説を引用しておきます。

--誰が得することが彼らの願いか?--

 よその町からニューヨークに来た観光客が、その驚嘆すべき金融街の見学に連れて行かれた。バッテリー・パークに到着すると、一人のガイドが、停泊中の美しい船を何隻か指してこう言った。「ご覧ください、あれが銀行や株式仲買人たちのヨットですよ」。朴訥なお客はこう尋ねた。「ええと、じゃあ顧客のヨットはどこですか?」

 機械的な売買を推奨する論調に悪意が含まれているかどうかは分かりません。実際には、そのような意図などない場合が大半なのでしょう。
 しかしながら、悪意のないアドバイスや、一般的な見識が必ずしも私たち投資家に有益であるとは限りません。もっともらしい意見でも、鵜呑みにはしないよう気をつけたいものです。



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